2007年12月20日木曜日

Alpine Workshop on Organic FET


Alpine Workshop on Organic FET
(Co-Organizers: Prof. Batlogg, Prof. Kubozono and Prof. Takeya)
16 December - 17 December, 2007 
Braunwald, Switzerland

という濃いワークショップに出席してきました。

写真は、ワークショップ開始直後の会場の様子です。
思い出せる範囲で、誰がいたのか書き出してみます。

(以下、敬称略、日本は国名略)
今講演しているのが、C60トランジスタについて講演したFujiwara (JAIST)。
その手前の机、右からゲート絶縁膜の誘電率がキャリアにおよぼす影響について詳しく講演したMorpurgo (TU Delft, Netherlands)、 首謀者の一人であるTakeya (Osaka U)、かの有名なBattlog (ETH Zurich, Switzerland)。
中央の柱の右に見えるのがルブレン単結晶FETの報告で有名なPodzorov (Ratgers U, USA)、その左がTanigaki (Tohoku U)。
その奥の机、手前からOTFTの低動作電圧化を強力に進めているKlauk (Mac-Planck Institute Stuttgart, Germany)、最近ペンタセン単結晶で移動度40を報告(松原君が論文読んでいるはず)していたPalastra (RU Groningen, Netherlands)、日本の有機トランジスタ物性系のドンといって良いIwasa (Tohoku U)。
正面の"Tomato Soup"の袋のところから奥に向かって、首謀者の一人でBatlogg先生のところにいたことのあるKubozono (Okayama U)、スピントランジスタを精力的に研究しているShiraishi (Osaka U)、Hasegawa (AIST)、3人ほど学生を置いて、有機結晶成長と構造解析で有名なResel (TU Graz, Austria)、大気安定なn型OTFTを精力的に研究しているIchikawa (Shinsyu U)。
一番後ろの列手前から、手だけ見えているのがこれも有名なかつてのBattlog先生の仲間のKloc (Nanyang TU, Shingapore)、ご存じIshii (Chiba U)、Baoさんのところで多角的な有機フレキシブルエレクトロニクス研究を推進しているMannsfeld (Stanford U, USA)などなど。
他、写真では判別できないけれど、Tsukagoshi (RIKEN)、最近千葉大にも来たKoch (Hunboldt U, Germany)、有機トランジスタの先駆者の一人である当研究室でも有名なHorowitz (U Paris, France)、実用的な有機/金属界面について分かりやすい講演をしたKnupfer (IFW Dresden, Germany)、個人的に知り合いのZojer (TU Graz)の学生でPacher(石倉君が最近彼の論文を読んでいるはず)、千葉大準メンバー(?)のShimada (U Tokyo)、後から登場した御大Ueno (Chiba U)などが記憶にありますが、他にも残念ながら顔と名前が一致しなかった人が何人かいます。

APL、PRL、AdvMater、はたまたNature、Scienceに載っている話が2日間次々と出てくるので、おなかいっぱいになりました。
3泊2日でスキー場の宿に缶詰になったので、日頃接する機会の少ないヨーロッパの研究者たちとたくさん顔見知りになれたし、つっこんでディスカッションできたのもすごく有意義でした。

仕入れたネタについては、学生の皆さんに機会を見て紹介します。

MN

2007年12月6日木曜日

'We Don't Get Out'

今月のニューズウィークに掲載された記事のタイトルです。タイトルの意味としては、「外になんか出て行かないよ」くらいのニュアンスでしょうか。

記事に何が書いてあるかというと、「最近日本から革新的な工業製品が出ないね。ウォークマン時代は良かったのに、ソニーもiPadに押されているしね。」って話題で、ニューズウィークの記者が一橋大の教授にインタビューした内容が書かれた記事です。ニューズウィークにしては比較的英語語彙力の不要な記事ですから、詳しくはご自身で読んでみてください。
そもそも、ニンテンドーなんて、今でも世界を席巻しているし、かつて大ヒットを飛ばしていたソニーが最近当たっていないだけの話のような気もしますが、日本が本来得意であるはずの高機能携帯電話が、海外でダメダメなことも下敷きとしてあるようです。

まあ、日本人にとってはとりたてて目新しい意見も事実もない無難な記事ですが、いくつか拡大解釈して教訓にはできそうです。ちょっと拾い出してみます。

Deep knowledge in one area doesn't necessarily produce innovations one after the other. And we're talking about series of innovations, not the big hit, once. So diversity is it. If you look at things today, it's not just one technology; it's a combination of different technologies, so you have to know a lot of facts.

ふむ、いまやテクノロジーの世界では多様性こそ重要で異分野の組み合わせから新しいものが出てくる、と。これは確かにそう思います。古典的な物理や化学の枠内に縛られるとエキサイティングなテクノロジーがでてくることはほとんどなくなってきていて、複数の分野の知識を組み合わせることで面白いことができたりするのは確かだと思いますね。幅広い知識と、何を組み合わせると面白いかを考える力が必要なんだと思います。

We do have some great entrepreneurs. A lot of them are from Kyoto. They went to the world market and grabbed a big share simply because no one in Tokyo bought from them. So they said, "Who cares? We're going to go out." It's similar to the situation with countries like Finland, where the domestic market is too small. India has lots of micromultinationals in information technology, and they go straight to the world market. That thinking is missing here. It's partly because the Japanese market is big enough, and complicated enough. So to get out and talk to people who don't understand you is a bit of a headache.

よくぞ言ってくれました!
これは、まさにも前々から思っていたことです。
ちょっと拡大解釈して、講釈をたれてみます。

西日本で生まれ育って西日本で教育を受けたとして、世界に出たときに東京(あるいは関東)の人が国内で目立っているほどには目立たないなと前々から感じていました。まさに、この方が言っているように、東京ってのがなまじでかいために、なんか東京以外見ていないんですね。外国に出ても、「ふん、オレは日本で十分まにあっているぜ。」って雰囲気を漂わせて、プライドを保ちつつ他国に馴染もうとしないっていうか。ここでいう東京ってのは、地理的な意味での東京ではなくって、日本の行政や企業文化などの中心って意味です。

ところが、関西や中部など他の地域(幕末の薩長や土佐もそう?)は日本でもまだましで、「東京も外国も一緒やさかい、東京相手にするより、はなからもっとでかい世界をあいてにしまひょ」って意識がある人が多かったんだと思います。そういえば、かつてソニーを躍進させた創業者故森田さんも中部生まれで大阪で高等教育を受けた人でしたね。トヨタも未だに本拠地は愛知です。任天堂は京都、ノーベル賞受賞者を現役社員から唯一出した島津も京都ですね。ちなみに江崎玲於奈さんも、ソニー(当時は「東京」通信工業)在籍中の仕事が受賞の元ですが、実は大阪人です。

企業でも、東京(つまり利権団体や日本国の行政)べったりのところは、安定こそしていますが、世界から見て全然存在感ありません。千葉大生のみなさんも例に漏れず東京志向が強いですが、世界に羽ばたきたいと思うなら、東京を無視しましょう。

みんな、東京にとじこもるな!!

MN

2007年12月1日土曜日

Princeton Discussions on Organic....


今日は、ボストンからプリンストンに移動して、プリンストン大のKahn先生の主催でミニワークショップに参加しました。
講演者は、以下のとおり。
Ueno (Chiba Univ, Japan), Tautz (Research Center Julich, Germany), Nakamura (Chiba Univ, Japan), Kudo (Chiba Univ, Japan), Kronik (Weizmann Institute of Science, Israel), Kanai (Nagoya Univ, Japan), Rosenwaks (Tel Aviv Univ, Israel), Kowalsky (Technical University of Braunschweig, Germany), Chan (Princeton Univ, USA), Cahen (Weizmann Institute of Science, Israel), Vuilaume (Institute for Electronics Microelectronics and Nanotechnologies, France), Selloni (Princeton Univ, USA), Schwartz (Princeton Univ, USA)
<<敬称略>>
Kahn先生が集めただけ合って、なかなか中身の濃い会議でした。

院生の皆さんには、新たな情報や課題、国際共同研究など持ち帰りますから、楽しみにしておいてください。

MN

2007年11月27日火曜日

MRS in Boston


ただいまMRSに参加中。
毎年Fall Meetingはボストンですから、さすがに会場周辺はアウェイというよりホームです。
工藤先生、渡邊さん、中村の発表も初日に終了しました。

国際会議に参加するたびに思うのですが、研究者コミュニティに存在を知ってもらうには、やはりいい仕事をした上で、しょっちゅうこういうところでPRしないとダメですね。そこそこ知名度の論文誌で論文を出した程度では、顔は売れません。
あと、実際に世界中の研究者をオフで話しあうのは、講演を聴くのと同程度か、あるいはより効果的だと思います。

今回は残念ながら学生が一人も来ていませんが、次回はぜひ参加してください。もちろん、ドクターコースだけでなくマスターコースの人も是非!

MN

2007年10月29日月曜日

IQってあまり意味ないけど

ウェブを泳いでいて妙な記事を見つけてしまいました。トリビアの一つとしてお裾分けしますね。
元ネタもアメリカの話のようですが、学問分野ごとの平均IQ(正確には何か似たテストをIQに換算したみたいです)を並べてあります。


130.0 Physics
129.0 Mathematics
128.5 Computer Science
128.0 Economics
127.5 Chemical engineering
127.0 Material science
126.0 Electrical engineering
125.5 Mechanical engineering
125.0 Philosophy
124.0 Chemistry
123.0 Earth sciences
122.0 Industrial engineering
122.0 Civil engineering
121.5 Biology
120.1 English/literature
120.0 Religion/theology
119.8 Political science
119.7 History
118.0 Art history
117.7 Anthropology/archeology
116.5 Architecture
116.0 Business
115.0 Sociology
114.0 Psychology
114.0 Medicine
112.0 Communication
109.0 Education
106.0 Public administration


まあ、だからどうしたって記事ですが、我らが分野である材料科学と電気工学が比較的上のほうに並んでいてよかったです。
ちなみに、IQの高さと社会での成功はまったく相関ないそうです。

オレはどんなもん?って気になった人、本格的なテストは面倒なので、お遊びに
これでもやってください。
MNを超えた人には、粗品を出しますので、ご一報を。
(ここでお互いスコア曝したくないですから、研究室内限定で直接教えてください。)

MN

2007年9月7日金曜日

応物北海道の陣(台風付き)


今、応用物理学会のために札幌に出陣中です。
研究室関連の大部分の発表が終わったので、今夜はサッポロビール園で打ち上げパーティーでした。
やっぱり、サッポロで食べるジンギスカンとビールはうまい!

あとは、大橋君と伊藤君の発表を残すのみ。ガンバッテください。

MN

2007年8月23日木曜日

薄膜材料デバイス研究会第4回研究集会開催のお知らせ


投稿締切が8/31まで延びましたのでお知らせします。

今年も、秋に「薄膜材料デバイス研究会」の研究集会が開催されます。
有機トランジスタの研究者にとっては、薄膜トランジスタとしてはるかに先行した歴史を持つポリシリコンやアモルファスシリコンの研究者、および、一部アプリケーションでライバルとなる酸化物半導体の研究者ともディスカッションができる点で貴重な機会かと思います。
学生の参加費(立派なバンケット込み!)が安いのもアピールポイントです。
当研究室の院生の皆さんも、ぜひ参加して下さい!

日時:2007年11月2日(金)、3日(土)
場所:京都(龍谷大学大宮学舎) - 重要文化財がキャンパス内にあります
テーマ:「明日の電子デバイスを支える薄膜新材料」
投稿締切:8月31日(電子メール投稿)
参加費:10月9日まで一般\10,000、学生\4,000
 以降は、一般\12,000、学生\5,000
招待講演:
・廣瀬全孝(次世代半導体研究センター) 
 『アモルファス半導体研究-激動の1975-1980年』(仮題)
・宮尾正信(九州大学)
 『シリコン系ヘテロ超構造技術の創出と未来型デバイスの夢(二流研究者の独白
 @企業と大学の狭間で生きて)』(仮題)
・川崎雅司(東北大学) 『酸化物エレクトロニクス』(仮題)
・安達千波矢(九州大学) 『有機発光性薄膜デバイスの新展開』(仮題)

初日午前に、院生を想定したチュートリアルコースも準備しています。
今年は、『酸化物半導体、有機物半導体の徹底理解!』と題して内藤裕義先生(大阪府大)および古田守先生(高知工科大)に、電気電子系の大学院生から理解できる内容をご講義いただきます。

研究会の詳細については、ホームページをご覧ください。

2007年8月19日日曜日

水道哲学

工藤先生も一時期籍を置いていたことのある松下電器産業の創業者(というより教祖?)、松下幸之助さんの有名な逸話です。
松下「伝記」産業と称されるくらい、松下幸之助さんについての伝記は数多く出ているのですが、長命だった幸之助さんも1989年に亡くなられており、今の大学生世代にはすでになじみが薄くなっているかと思いますので、簡単に紹介します。
松下の本来の創業は1918年だそうですが、1932年に創業記念式典なるものを開き、そこで社員に説かれたそうです。

「水道の水は、通行人がこれをいくら飲んでも咎められることはない。それは、量が多く、価格があまりにも安いからだ。松下の使命もここにある。水道の水のごとく、物質を豊富に、かつ廉価に生産提供しなければならない。その結果、貧乏を克服し、人々に幸福をもたらすことができる。」


「人間の世界には、電気冷蔵庫も医療も、水のように必要なものがある。それがもしただに等しいような値段やったら、この世から貧乏というものがなくなる。」

昭和初期のまだ多くの日本人が貧乏だった時代の話ですが、世界的視野では今でもそのまま通用するのではないでしょうか。なにも技術は高付加価値の商品を高く売るためだけに使うものではない、革新的技術によって革新的な低価格で生活に必要なものが作れるようになれば、世界中で広く使ってもらえ大勢を幸せにできる。大量に売れれば会社も幸せになり、従業員も幸せになる、ということですね。

今思うに、有機エレクトロニクスにもこの考えが有効なのではないでしょうか。
革新的に低コストで新たなエレクトロニクスが創出されるのであれば、それは至るところで水道の水のように使われるようになるのではないかと。
幸之助さんなら、どのような商売を思い描いたでしょうね。

MN

2007年7月2日月曜日

ストレス


最近、世の中全体に世知辛くなって、ストレスから鬱や心身症になる人が増えているそうです。
今日の朝日新聞夕刊を見ていたら、「職場のストレス」って記事が載っていました。なかなかポイントを突いた記事だったので、ちょっと紹介します。
まず、「質的・量的負担は小さく、やりがいが低く、裁量が少ない」と感じて仕事をする場合と、「質的・量的負担は大きく、やりがいや裁量がある」と感じて仕事する場合とどちらがストレスが大きいと思いますか?
・・・・・筑波大の社会医学の先生によると、前者のほうがストレスは大きいそうです。みなさん思ったとおりでした?
やりがいと裁量の自由度があるかないかが、ストレスを感じるかどうかに大きく影響するそうです。昔から言われているように、同じ仕事なら「いやいや」やるより「面白い」と考えてやることが大事なんですね。

あと、「支援」もストレスを減らす要因だそうです。高度成長期の「モーレツサラリーマン」(死語なので...知っていますか?)が元気だったのは、社会や自分の生活を向上させるんだというやりがいがあり、みんなで助け合い励まし合いながら一団となって働いていたからこそなんでしょうね。最近、日本の社会に、あるいは、会社などにも一体感が無くなってきているのが問題です。行き過ぎた格差社会・競争社会はトータルで見て弊害が大きいです。
全然、うつくしい国じゃ無くなってますよね、最近。

(図は本文とはそれほど関係ありません。)
MN

2007年6月23日土曜日

サイエンスマップ


文部科学省科学技術政策研究所がまとめた「サイエンスマップ」によると、物理学や材料科学の分野では日本の研究は世界をリードしているそうです。
反対に弱いのは環境/生態学&地球科学、計算機科学&数学だそうな。数学なんて強そうな気がするんですけどね。意外なことに、「工学」もいまいちです。(これについては、「工学」に相当するジャンルでは論文が日本語で書かれてることが多いのが一因と言われています。)
ちなみに、当研究室の論文は、多くが物理学か材料科学に分類される雑誌から出ています。日本では、電子工学科で半導体やナノテクが盛んに研究されていますが、世界的にみるとジャンルとしては電子工学ではなく物理学か材料科学ですね。

MN

2007年6月3日日曜日

産総研訪問


MNと院生O君とで、産総研の光技術研究部門・分子薄膜グループを訪問してきました。
MNも現産総研の敷地内で3年ほど働いていたことがありますので、つくばに来るといろいろ懐かしいのですが、独立行政法人になってから人事も研究体制も本当にいろいろ変わっているみたいですね。
O君も、分野的に近いながらも毛色の違う研究室を見て、また、ポスドクが何人もがんばっているのを見て刺激になったことと思います。
MNも、雑談の中で、いくつか認識を新たにしたことや、自分の研究の参考になったことがいくつもありました。
産総研の皆さん、お世話になりました!どうもありがとうございます。

2007年4月28日土曜日

More is different!

"More is different."

アンダーソン局在で有名なフィリップ・ウォレン・アンダーソン大先生の1972年の論文[1]のタイトルとして有名な言葉です。
直訳すると、「多は異なり」となりますが、もう少し解りやすく訳するなら「量が増えると予想外のことが起きる」といったところでしょうか。自然現象を還元主義的にとらえた原理からは予想できないような現象が、要素が多数集まった集団でより高次な現象として起こることを指して、様々な科学のジャンルで今でも頻繁に使われる言葉です。材料の物性やその応用を研究する人ならしみじみと実感できるのではないでしょうか。

我々の研究に限っても、例えば電荷移動錯体のワイヤーが特定条件の下で電気力線の方向に成長すること、有機半導体結晶を凹凸のある基板に乗せるとキャリアドーピングが起こることなど、現象を発見してからメカニズムを想像することはできても、知る以前から現象を予想することは困難な現象というのはたくさんあります。
だからモノに関わる研究は面白いんですよね。
院生のみなさんも、新しい more is different を見つけてみませんか?

これ以外にも物性に関連する有名な言葉として、が好きなものをいくつか挙げておきます。

"God made solids, but surfaces were the work of the Devil." by Wolfgang Ernst Pauli
バルク物性の研究に比べると表面は混沌としてなかなか理解できなかったんです。同じことは半導体デバイスを作るときにも言えて、半導体デバイスは表面あるいは界面の理解と制御(場合によっては回避)によって成立しています。

"There's plenty of room at the bottom" by Richard Feynman
「原子スケールで物質を見たり直接操作すれば興味深いことがたくさんできるよ」ってことを、なんと1959年に講演したそうです。STM屋さんや単一分子エレクトロニクス屋さんが好んで使います。

MN

[1] P.W. Anderson, Science 177, 393-396, 1972.

2007年3月23日金曜日

電子情報産業の世界生産額、4分の1が日本メーカー


日経BPネットの記事より....
電子情報技術産業協会(JEITA)は,電子情報産業の世界生産額について調査結果をまとめた。これによれば,2005年実績は184兆円で,うち44兆円が日系企業の生産額(海外での生産分も含む)だという。2006年は,世界生産額196兆円のうち46兆円を日系企業が占める見込みだ。
世界生産額に占める日系企業の割合が大きいのは,AV機器と電子部品。2006年の見込み額をみると,AV機器で特に日系企業の生産シェアが高いのはデジタル・カメラやビデオ・カメラなどの「撮像機器」で,86%となっている。カーナビや車載テレビなどの「カーAVC機器」に占めるシェアも61%と高い。

日本メーカーがんばっていますね。
寂しいのは、携帯電話機のシェア16%です。どこぞの産官連合が日本独自企画を突っ走ってきたことが敗因なのでしょうか....
これから、世界の携帯市場も高機能化が進みますから、日本の得意分野にできるのではないでしょうか。ヨーロッパや韓国企業を追撃してほしいところです。

あと、図の円グラフは日系企業の電子情報産業の生産額ですが、実は「電子部品」が一番額が多いのですね。「ディスプレイデバイス」や「半導体」も電子部品ですから、これも入れると1/3は部品です。こういう部品や素材が強い国は落ち目になりにくいはずですね。

MN

2007年3月1日木曜日

フレキシブルOTFTによるアクティブマトリックス電子ペーパーのためのデモ


当研究室研究生の宮下君が卒研時代からの課題であったフレキシブルOTFTによる電気泳動型表示素子(いわゆる電子ペーパー)のスイッチングデモを行いました。
その様子はこちらのムービーでご覧下さい。
特徴としては、
・フィルム基板を使っていること
・印刷とラフなマスク蒸着だけで作製されていること
・ソース/ドレイン電極は銀ペイントを直接描画によって印刷パターン化したこと
です。
まだ改良の余地はありますが、画素数少なめの電子ペーパーなら使えそうですね。

宮下君、東工大でも堅実さを活かしてがんばってください!
MN

2007年2月19日月曜日

ついに巻物型電子ペーパー


記事を書くタイミングが遅くなりましたが、2/15のTechOnに、Polymer Vision社の巻物型電子ペーパーの記事が掲載されていました。

実はPDA大好きなとしては、製品としてもぜひ使ってみたいものです。
それはさておき、注目すべきは、この巻物電子ペーパーには有機トランジスタが使われていることです!
技術的詳細は公表されていないようですが、同社のことですから、おそらくポリマーFETが使われていることでしょう。2007年度末に発売を予定しているそうで、有機ELに続いて、ついに有機トランジスタも市販製品に搭載が始まることになります!

もう一つ注目すべきなのは、このPolymer Visionって会社です。元々、オランダのRoyal Philips Electronics社の社内ベンチャーだった部門が独立した会社です。
このグループは2003年ごろから(トランジスタだけならもっと前から?)有機トランジスタを使ったアクティブマトリックス表示素子を精力的に研究しています。こんな会社が日本にも出てきてほしいですね。

MN

2007年1月9日火曜日

OLEDテレビの時代が来るか!


2007 International CESで、ソニーが27型と11型の有機ELテレビを参考出展するそうな。

「技術的には耐用年数も含めてほぼメドが付いたので出展した。特に11型は,すぐに量産に取りかかれそうなくらいになった」

やっぱり、あと2、3年テレビを買い換えるのは待とうかな。

MN