2009年12月2日水曜日

2009 MRS in Boston


[火曜日]
毎年恒例、MRS Fall Meeting に参加しています。
今回は少々寂しく、当研究室からは中村と松原君のみです。
今回、出発の直前に携帯電話を最新モデルに替えたので、それで写真をいくつか撮りました。
右の写真は、Hynes convention centerのエントランスの一つで、おそらくこのミーティング最大の看板があるところです。ここで昼休みや午後のセッション修了後にうろちょろしていると、国内外の知り合いに出会います。
今日は、これから私の師匠と晩飯に出かけます。メインはロブスターかな?

MRSは応物学会などとは異なり、Chairの意向次第で毎回柔軟にセッション(シンポジウムという名称)が組み変わります。しかも、アメリカの科学技術予算は日本よりジャンルの流行り廃りが早いので、MRSにどんなセッションがあるかを見るだけでも、今アメリカでどんな分野に資金が出ているのかがよくわかります。
今回、当研究室に比較的関連がありそうなところでは、以下のシンポジウムがあります。
C: Large-Area Processing and Patterning for Optical, Photovoltaic, and Electronic Devices II
D: Organic Materials for Printable Thin-Film Electronic Devices
E: Advanced Materials for Half-Metallic and Organic Spintronics
H: ZnO and Related MaterialsI: III-Nitride Materials for Sensing, Energy Conversion, and Controlled Light-Matter Interactions
L: Large-Area Electronics from Carbon Nanotubes, Graphene, and Related Noncarbon Nanostructures
Q: Photovoltaic Materials and Manufacturing Issues IIR: Advanced Nanostructured Solar Cells
S: Organic Materials and Devices for Sustainable Energy Systems
Z: Energy Harvesting--From Fundamentals to Devices
OO: Dynamic Scanning Probes--Imaging, Characterization, and Manipulation


[木曜日]

随時報告すると言いながら、全く更新出来ませんでした。
というのも、火曜から風邪気味ではあったのですが、水曜についに熱が出てふらふらになり、ホテルの部屋で寝込んでしまったのです。
右は、倒れる直前にMRS Fall Meeting 常連日本人なら誰でも知っているという、怪しいラーメン屋に知り合いの人たちと行ったときの写真です。
おかげで、水曜夜の松原君の発表は見られず、写真もありません。
木曜朝になって、熱は少し引いてきたようですが、まだふらふらだったので、初めてアメリカで医者にかかるという経験をしました。風邪だかインフルだか判らないけど、直前にうちの子供も発症しているということでインフルの診断を頂き、リクエストでリレンザの処方をもらって近くの Walgreens へ薬をもらいに行きました。当然アメリカで有効な医療保険はありませんから、カード払いで計$400ほどの出費です。後で保険請求しなきゃ。
Cohen先生、朝早くから40分もの診療ありがとうございました。さすがに、黒沢映画について語れる世代ではなかったです、せっかく話題を振って頂いたのに申し訳ありません。

なんとか木曜昼までホテルで寝て過ごし、午後から自分の「有機薄膜のゼーベック係数評価」について発表のために会場へ。
幸い、倒れるまでに発表のスライドは一通り用意してあったのですが、いつもなら前日に話すことを整理しながら、発表時間に収まるように削っていく作業が出来ませんでした。おかげでトータル15分のところ発表だけで13分くらいになってしまったでしょうか?
座長の染谷先生は少々やきもきされていた模様。それでも、さらに5分くらい3件の質疑応答の時間を許して頂けました。
発表後も複数の人たちから声を掛けられ、皆さん言うには「うちでも試したんだかが、ゼーベック係数がうまく計れなかった」と。これ、AFMポテンショメトリのときと同じ反応です。AFMポテンショメトリも名だたる研究室何カ所もでチャレンジされたのは知っていますが、みなさんうまくいきませんでした。探針系も含めた入力容量の最小化をさぼっているからです。今回の有機ゼーベック測定もそう。2電極の温度と電極間電圧を同時に計るには、有機膜のような極めて高抵抗な試料の場合、2組計4本のワイヤーのうち少なくとも3つが超高インピーダンスで接続されていないといけません。でも、ケミストの方々はおろかフィジシストの人たちまで、電気計測をなめているからうまく行かないんですね。「☆アンプ」の勝利です。やっぱり、これ売り物にしましょうか? → 星くん

[金曜日]

金曜は、ボストンを後にして、ミネアポリスへ。C.D. Frisbie先生の研究室訪問です。前々から一度立ち寄りたいと思っていたのですが、今回うまくスケジュールが合わせられました。
とはいえ、体調はまだ十分回復していないので、訪問は短時間にしましたが、前々からFrisbie先生とディスカッションしていた件について、実際に担当しているPh.Dの学生さんたちと直接ディスカッションできて身のある訪問でした。

MN

2009年11月1日日曜日

景気のいい話?

読売オンラインより

トヨタ自動車は、今春入社した大卒事務系・技術系の新入社員約900人を来年1月から約3か月間、工場に配置し、車の組み立て作業などにあたらせる。
(中略)
新入社員は工場や販売店での研修を終え、10月に本社や研究所などの各部署に配属されたばかり。再配置先は、プリウスを生産する堤工場(愛知県豊田市)など主力車種生産工場が中心になる見込みだ。


はぁ、これぞ製造業の判断ですね。

T君、会社の利益のために頑張って下さい!

MN

2009年10月30日金曜日

薄膜材料デバイス研究会第6回研究集会開催のお知らせ

いよいよ、薄膜材料デバイス研究会が来週月、火に開催されます。
今年は過去最大の発表件数となり、興味深い講演も数多くあります。
また、チュートリアルでは、「初心に返る」を目標に、この分野のニューカマーの人からベテランまで満足できる内容を用意しています。
研究室の学生の皆さんで発表を予定していない人も、是非参加して下さい。
テキスト「薄膜トランジスタ」の割引販売もあります。

ーーーーーーーーーーーーー

毎年秋に開催されている薄膜材料デバイス研究会の研究集会(詳細は下記)ですが、今年は11月2日、3日に京都で開催されます。
今回、中村が実行委員長を務めます。当研究室の学生の皆さんも、どんどん投稿して下さい。
特に学生の人たちにとっては、日頃聞けない話が聞ける勉強になる会議であるとともに、バンケット等で出される飲食費より支払う参加費のほうが安いというお得な会議です。
アブストラクト投稿締切は9月18日(金)です。投稿は、研究会ウェブページから。

以下、紹介文。

ーーーーーーーーーーーーー
本研究会は、シリコンTFT関連をコアとして、酸化物半導体から有機半導体までを含む、薄膜半導体デバイス関連のテーマを一望できる貴重な研究会であり、毎年1回200名近い参加者を集めて研究集会を開催致しています。
研究会の詳細については、ホームページをご参照ください。
http://www.tfmd.jp/

研究集会のトピックは、半導体薄膜を用いるデバイス全てです。
有機半導体デバイスの研究者にとっては、はるかに先行した歴史を持つポリシリコンやアモルファスシリコンの研究者、および、一部アプリケーションでライバルとなる酸化物半導体の研究者ともディスカッションができる点で貴重な機会かと思います。皆様のご投稿ご参加をお待ちしております。

             記

薄膜材料デバイス研究会 第6回研究集会「如何に作り如何に測るか」

日程: 2009年11月2日(月)から11月3日(火)
場所: 龍谷大学大宮学舎 清和館(http://www.ryukoku.ac.jp/omiya.html)
主催:薄膜材料デバイス研究会組織委員会
協賛(予定を含む):応用物理学会、電子情報通信学会、日本真空協会、電気学会、日本物理学会、応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会、応用物理学会プラズマエレクトロニクス分科会、AM-FPD、IDW
※研究会ホームぺージに投稿の案内があります。
※最大4ページまで掲載されますので、研究をひとまとめするのに適しているかと思います。
参加費(事前申し込み):一般10,000円、学生4,000円(バンケット代込)

ランプセッション特別講演  2日夜
水野博之先生
(広島県産業科学技術研究所所長、大阪電気通信大学副理事長)
「イノベーションと若き技術者たち」

招待講演・レビュー講演(敬称略)
石原良一(デルフト工科大学)
染谷隆夫(東京大学)

チュートリアルプログラム(敬称略)  2日午前
薄膜デバイスの基礎、作製技術、評価技術
木村 睦(龍谷大学)「TFTの基礎:テキスト『薄膜トランジスタ』より」
鮫島俊之(東京農工大学)「フリーキャリア吸収による半導体薄膜評価」

FPDインターナショナルから

今回は、パシフィコ横浜で現在開催されているFPD International 2009の紹介記事から、気になったものを並べます。

湾曲可能な有機ELパネル,Samsung Mobile Displayが披露

15型有機ELパネルを製品化するLG Display社,「2012年には40型を市場投入する

AUOの14型フルHD有機ELパネル,ユーザーの要望があれば対応したい

LG Display,腕に巻く4.3型有機ELディスプレイを出

米UDCが演色性を高めた照明向け白色有機ELを開発,併設セミナーから

真空装置をロール・ツー・ロールにインライン化する“差圧”機構

ロール状に巻いた厚さ100μmのガラス,長さはフィルム基板による製造設備に対応しやすい400mを実現

「技術的には量産可能」,TMDが3.2型のWVGA有機ELパネルを出展

酸化物半導体;Si系材料に対する挑戦者

う〜ん。上から5つは海外企業の発表です。
ニッポン頑張れ!

MN

2009年10月25日日曜日

東アジア共同体

最近のニュースでは、近いうちに中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になりそうだとのこと。
一方、鳩山首相は東アジア共同体構造を打ち上げようとしています。
そこで、東アジア共同体ができたとして、その経済規模はどの程度になるのか、ざっと見てみました。

ワールドバンク発表の2008年GDP
では(単位はbillion US dollar)
 EU 18,283
 USA 14,204
となっています。

では、東アジア3国
 日本 4,909
 中国 3,860
(香港 215)
 韓国 929
を足してみると、まだ9,913 billion$。これでは足りないので、ASEANとオセアニア2国
 ASEAN 861
 オーストラリア 1,015
 ニュージーランド 130
を足して、ようやく11,919になります。中国の伸びがこのまま続くと、あと10年もすればUSA一国は超えられそうですね。世界の対等な3極と言ってもおかしくない程度の経済圏にはなりそうです。
でも、EUと比べていろいろな面で統一感が無いのが難しいところですね~。

MN

2009年10月8日木曜日

SSDM2009


台風が襲撃する中、SSDM2009のために仙台に来ています。
今日は、午前中に酒井先生と星君のポスター講演(左の写真)、午後には工藤先生の講演がありました。

とりあえず、諸々の用事で疲れているので、今回はこれだけご報告します。

MN

2009年10月6日火曜日

Knipp先生来訪



ドイツ、Jacobs UniversityのProf. Dietmar KnippをG-COEゲストとしてお呼びしました。
Knipp先生は、アメリカXerox社でのポスドク時代から有機FETを精力的に研究しており、ヨーロッパでは珍しく電気工学的立場から有機トランジスタの基礎的なところまで研究している方です。

写真は、10月5日午後に行われたG-COEコロキウムの様子です。
院生も参加するセミナーだとお伝えしておきましたので、FETの基礎からとても丁寧に話してくれました。M1や四年生の人たちにも勉強になったのではないでしょうか。
当初90分の予定が休憩をはさんで合計2時間以上の熱演でした。

個人的には、彼の酸素によるキャリアドーピング効果の研究が気に入って、というか、気になっています。今後、共同研究として何かやれたらいいと思っています。


コロキウムの他、いくつかの研究室のラボツアーやディスカッションなど、充実した2日間でした。

Thanks, Prof. Knipp!

MN

2009年10月3日土曜日

CEATEC関連(3)

従来の1/100,わずか10ccのRb原子発振器をエプソントヨコムが開発
原子時計と言えば、精度の極めて高い時計の代名詞で、たいそうなシステムが必要という認識でした。ここまで小型化が進んでいたとは、まったく知りませんでした。
これで「原子アラームクロック」くらいはできそうですね。いずれは「原子腕時計」でしょうか?
他にも、エプソントヨコムの電子部品やセンサー類はスゴイものが多いので、今回一押しのブースです。

村田製作所
CEATECと言えば村田製作所を忘れてはいけません。
今回、ムラタセイコちゃんがさらに進化したと聞いています。今回はどんなデモを見せてくれるのでしょうか。

パナソニック電工,直流で電力供給を可能にする次世代配電システムを展示
最近、直流給電が話題に出ることが多くなってきました。確かに、PCやテレビをはじめとして、身の回りにはAC100Vを供給しておきながら、内部的にはDCしか使っていない機器ばかりになってきています。さらに、LEDや有機EL照明が普及し始めたら、ますます家庭内のあちこちでAC100VをDCに変換することになります。それなら、配電盤のところで高効率な装置でまとめてAC-DC変換をやってしまい、DCしか必要の無い機器にはDCで給電しましょうということです。そのほうが効率も機器のコストも安くなるでしょう。
これ、大学の実験室でこそ早く実現して欲しいと願っています。我々の実験では微弱電流を測ることが多いのですが、そのような測定では電磁ノイズや漏洩磁場によるノイズが大敵です。以前なら蛍光灯とブラウン管が悪役コンビだったのですが、最近ではいろいろな機器の電源で使われてるインバーターからのノイズがかなり気になります。さらに、壁や床を這っているAC100Vラインからの磁場ノイズも測定によっては問題になります。DC給電にすると、これらがかなり減るはずです。

MN

2009年9月29日火曜日

CEATEC関連(2)

CEATEC関連のニュースのから、興味を持ったものを紹介していきます。

QDレーザらが量子ドット・レーザを利用した緑色レーザを開発,2010年秋の量産目指す
意外と言えば意外ですが、AlGaAs/GaAs系の赤色とInGaN/GaN系の青色との狭間で、緑色レーザーは今まで小型・安価・高性能なものが得られていないようです。緑色レーザーでは、通常近赤外レーザー光からSHGを利用して高調波としての緑色光を発生させますが、この発表では、励起レーザーに量子ドットレーザを用いていることが特徴です。
これで、三原色そろった小型レーザーを使ったモバイルプロジェクターの普及が加速するのでしょうか。

日本写真印刷らが色素増感型太陽電池を開発,2010年サンプル出荷へ
色素増感太陽電池は低コストかつ比較的変換効率の高いことが特徴ですが、耐久性に難があります。この発表では、印刷技術を利用して実用的な耐久性を得たそうです。有機材料を用いた太陽電池では色素増感型が一歩先を走っていますが、そろそろ実際に製品として使われ始めるでしょうか。

MN

2009年9月24日木曜日

当研究室の学生必読本

院生のP君と話をしていて、我々の研究室での必須知識について講義してほしいとリクエストされました。
まあ、そういうのもなかなか難しくって、よほどまとまった時間を取らないかぎり極簡単な話にしかならないし、また、人によって必須知識だと思うものも違うので、講義としてやるのはお互いコストパフォーマンスがよくありません。
我々の研究分野においていくつか必読の教科書があるので、それを手元に置いて、興味と自分のレベルに応じて何度も読むというのが一番だと思います。もちろん、わからないところとか疑問に思ったところは、いつでも質問に来てくれれば喜んで答えます。

そう思って学生の部屋を探し回ってみたのですが、どうやら、以前から研究室の学生の皆さんに「これだけは必読」と言っていた本が今では伝わっていないようです。
そこで、ここで改めていくつか挙げておきます。

まずは、絶対外せないこれ!
・木下 是雄 (著) 理科系の作文技術
理工系の大学生の必読本です。少々古くなっている感もありますが、今でも原理原則はまったく変わっていません。
四年生の人!卒研に取りかかる前に必読ですよ。

あとは、今いくつか思いついたものを挙げます。
・堀越 源一 (著) 真空技術 (物理工学実験)
当研究室のほとんどのテーマで大なり小なり真空を使います。
以前なら、この手の本を輪読したのですが、最近おろそかになってしまっています。ぜひ手元において、真空引きの待ち時間に人類の英知の一つである真空技術を学んで下さい。
(他にも類似の本はいくつかあります)

・Simon M. Sze (著) Physics of Semiconductor Devices
忘れてはいけない、半導体デバイスのバイブルです。論文のリファレンスでもよく見かけますね。半導体デバイスに関わる研究者、技術者のバイブルです。読んだことがない人はもぐりです。

・薄膜材料デバイス研究会 (編集) 薄膜トランジスタ
ちゃっかり宣伝もしておきます。
半導体物性およびデバイスについての学部レベルの教科書は、皆さん必ず持っているでしょう。しかし、薄膜トランジスタ特有の物理や作成プロセスなどについては、まとまった教科書は少ないのです。これはその貴重な一冊です。TFTに関わる人は必読です。

・上羽 牧夫 (編集) 結晶成長のしくみを探る―その物理的基礎 (シリーズ 結晶成長のダイナミクス)
当研究室でも、様々な形で結晶成長に関わる現象を扱うはずです。この手の本に一度目を通しておいて、「なぜこうなるんだろう?」と思ったときに学びながら現象の理解と説明ができるようになって下さい。

今日はここまで。
教科書というのは、手元にあるのと図書館で借りるのとでは大違いです。「積ん読」も実は価値があって、机に積んであれば、必要なときに時間のロス無く紙媒体を自分の記憶の延長として使えるのです。
買いそろえると高いですが、これらのリンク先を見てもわかるように、最近はネットで簡単に古本が買えます。ぜひ、自分の本として購入して下さい。

MN

2009年9月19日土曜日

CEATEC関連(1)

今後しばらく、CEATEC関連で気になった報道を紹介していきます。

最初はこれ。
学生のための「仕事研究サポートイベント」

私が学生の皆さんにCEATEC見学を勧めているのも、世の中の技術動向を知るだけでなく、自分が将来やる仕事についてイメージを確立してほしいからです。
このイベントなんて、まさに最適です。
研究室の院生の皆さんも、完全予約制とのことですので、早めに予約して是非参加して下さい。

以下、内容を転載。

1stステージ
「IT・エレクトロニクス業界セミナー」
先輩エンジニア達が語る、ここでしか聞けない業界研究セミナー
講 師:京セラ(株)、パナソニック(株)、(株)日立製作所、横河電機(株)他
時 間:11:00~13:00(受付開始10:30)
場 所:国際会議場2階「201」
定 員:150名


2ndステージ
「企業ブース訪問」
CEATEC JAPANを自由に見学。最新技術を体感しよう。
時 間:13:00~16:30
※人事担当参加ブースでの対応時間です。通常のブース見学は、イベント開催中は自由です。
場 所:各展示ホール
※人事担当参加の企業ブースに訪問するとシールを渡します。シールの枚数で素敵な賞品をプレゼント


MN

2009年9月14日月曜日

CEATEC2009

今年もCEATECの時期が近づいてきました。
エレクトロニクスの今と近い将来の姿を知る良い機会ですから、研究室の皆さんも是非見に行って下さい。特に就活を控えたM1の人たちは、「どの会社でどんな仕事をやってみたいか」を考えながら、積極的に質問などを行うと良いでしょう。

3年生でここを見ている人はあまりいないと思いますが、後期の「電子デバイス」では、CEATEC見学レポートを義務づけています。
今の内に入場登録を済ませておいて下さい。
全体を真剣に見ると丸一日かかります。時間割と相談して、なるべくまとまった時間参加できる日を選んで、幕張まで行ってきて下さい。

MN

2009年9月1日火曜日

理科ナビ

東京理科大がこんなサイトを作っています。
http://rikanavi.tus.ac.jp/

つい興味をそそられたので、私自身もやってみました。

結果は...

思考・行動ベースでのオススメ学科は基礎工学部材料工学科、興味・関心ベースだと一番関連が強いのが理学部応用物理学科でした。
これらの学科の他に、「学び方」で適合性が高いのが生物工学科、電子応用工学科など、「興味」の適合性が高いのが物理学科、化学科などでした。
まあ、今選ぶなら、さもありなんです。
いや、今に限らず、昔から興味と適合が食い違っていることは自覚しています。学際領域をやるには、そのほうが良いかと思います。

すでに千葉大電気電子系に入学してしまった皆さんも、自分の本当の姿を知るきっかけとして、ぜひやってみて下さい。

MN

2009年8月6日木曜日

仕事に役立つ?

当研究室のOBに、「大学や研究室で学んだことで仕事で役立っていることは何か?」というアンケートを採ってみようと思ったことがありました。結局は、連絡が取れる人数が少なく(連絡先不明になっている人が結構多い)、研究室単位ではあまり意味のある数がとれないだろうということで諦めたのですが、その後こんな記事を見つけました。

Tech-On!読者1000人に聞きました 第2回:新人の時に苦労したこと
「学生時代の研究や勉強は,今の仕事でどのように生きていますか」


記事の様子からは、回答がバラバラだったことが伺えますが、それらの回答を大まかに(1)基礎的な知識、(2)論理的な思考、(3)問題解決へのアプローチ、(4)研究や調査の仕方、(5)直接的なスキル、(6)人脈、の6つに分類しています。
このうち、回答が多いらしい(1)〜(4)について、現役院生の皆さん向けに考えてみます。

(1)基礎的な知識
数学や物理、化学、材料力学、機械力学、電磁気学、電気回路学など、大学の一般教養課程あるいは高校で学ぶ知識を挙げる回答が多く見られました
とのこと。これは、もっともだと思います。理学でも工学でも、専門知識が先に進めば進むほどそれを使う場面が限られてきます。そういう意味でも、基礎科目について十分理解し、いざというときに使いこなせることが大卒技術者の最大の強みだと思います。ここの学科でも、数学、電磁気学、回路理論はみっちり仕込まれている「はず」です。(この点については、院試をやる意義が大きいですね。)また、研究室での研究を進める中でも、それら基礎知識を復習したり応用力をつけたりする機会があるはずです。
この裏返しとして、
一方、「学生時代の研究などを通して学んだ専門知識が直接役立っている」という回答はほとんど見受けられませんでした。
ということも書いてあります。これも当然。先ほど述べたように、理学的な専門知識については、高度になるほどちょっと分野がずれると使い道がないことが多いです。技術的かつ実用的な専門知識に至っては、年月が経ってその技術分野が進化してゆくと使い物にならなくなります。場合によっては、5年も経つと陳腐化します。大学院での研究活動そのもので得た「研究での実用知識」は、その道で研究を続ける少数の「研究エリート」(ちょっと皮肉がこもってます)以外の人にとって、直接お役にたつことは少ないでしょう。でも、後述しますが、研究活動は決して無意味ではありません。

(2)論理的な思考
(3)問題解決へのアプローチ
(4)研究や調査の仕方
まとめて論じますが、これらこそ研究室で身につけて欲しいことです。何をやれば鍛えられるかは想像つきますでしょうか?
これらに教科書はありません。まったく無いわけではありませんが、やはりこれらはstudyの対象ではなく、learningあるいはtrainingによって身につけるものだと思います。この、learningあるいはtrainingという姿勢が年々薄れてきているように思えることが心配です。
実験系の研究の大まかな流れは次のようになると思います。(細部は異なりますが、この大まかな流れは企業で研究する場合も同じですね。)
(a)何を研究すべきか、テーマの大筋を考える。
(b)どのようにそれを実現するかのプランニングを行う。
(c)研究を遂行するための予算(場合によってはメンバー)を獲得する。
(d)今どのような実験を行うべきか必死に考える。
(e)それを確実に行う方法を考え、必要であれば実験装置を構築あるいは改良する。
(f)細心の注意と全てのノウハウをつぎ込み、実験を行う。
(g)出た結果について死ぬほど一所懸命に考える。
(h)新事実が確かであることを確認するまで、あるいは、技術的な進歩が一段落するまで(d)〜(g)を繰り返す。
(i)得られた結果をまとめ、他の研究者を納得させられる状態にして学会や論文などで発表する。
(j)一定の目的を達するまで(a)〜(i)を適宜繰り返す。

修士院生の人たちは(a)〜(c)は要求されませんが、(d)〜(i)のプロセスはぜひ2巡くらい体験して「論理的な思考、問題解決へのアプローチ、研究や調査の仕方」を会得して欲しいと考えています。しかも、どうせやるなら、これ以上無理というまで頑張った上で、一流の仕事を体験して欲しいものです。スポーツと同じで、楽をしていては個人の能力が高まりませんから。
なお、博士院生の人は、(a)~(c)のやり方も身につけるべし!

MN

2009年7月22日水曜日

皆既日食


今日は、日本で皆既日食が見られる貴重な日でした。
千葉でもかなり欠けた太陽が見られるはずが、朝から曇り時々雨のあいにくの天気でした。
しかし!
誰かの祈りが通じたのか、西千葉キャンパスからも、日食のピーク前後だけ雲の切れ目から時々太陽が見えるという幸運が訪れました。
写真は、「月に雁」ならぬ「月に食われた太陽とカラス」です。

MN

2009年7月21日火曜日

日本の製造業の存在感

景気が悪くなるたびに、どうしても製造業の不調に関連する報道が増えます。それだけ、日本における製造業の景気全体や雇用に与える影響が大きいからなんでしょうけど。例えばサービス業なんかも、固定費が大きいだけにもっと厳しいはずですけどね。
そういうネガティブな報道が増えると、世の中全体に日本の製造業がヤバイのではないかという印象がもやもやと漂います。ここはひとつ、そんなことは無いというのを確かめましょう。

このブログでも以前話題に出したことがある、Forbes The World's Biggest Companies の 最新版 より、いかにも製造業という業種ごとの企業ランクを拾ってみました。
業種の区分が日本国内とは異なりますので、よく知られた企業が意外なカテゴリーにランクされているかもしれませんので、ご注意。


【Chemicals】 上位30社中、日本企業5社
1 BASF Germany
2 Saudi Basic Industries Saudi Arabia
3 Bayer Group Germany
4 EI du Pont de Nemours United States
5 Aire Liquide Group France
6 Monsanto United States
*7 Shin-Etsu Chemical Japan
8 Dow Chemical United States
*9 Mitsubishi Chemical Japan
10 Mosaic United States
11 Syngenta Switzerland
12 Potash of Saskatchewan Canada
13 Praxair United States
14 Nan Ya Plastic Taiwan
*15 Sumitomo Chemical Japan
16 Yara International Norway
17 Air Prods & Chems United States
*18 Asahi Kasei Japan
19 Formosa Chems & Fibre Taiwan
20 PPG Industries United States
21 Solvay Group Belgium
22 Agrium Canada
23 Formosa Plastics Taiwan
24 Royal DSM Netherlands
25 Akzo Nobel Netherlands
26 Rohm and Haas United States
27 K+S Germany
28 Ecolab United States
29 Industries of Qatar Qatar
*30 Mitsui Chemicals Japan

【Construction】 上位30社中、 日本企業7社
1 Vinci Group France
2 ACS Group Spain
3 Saint-Gobain France
4 Bouygues France
5 Lafarge France
6 Holcim Switzerland
7 CRH Ireland
8 CCCC-China Communications Construction China
9 Acciona Spain
10 HeidelbergCement Germany
11 China Railway Group China
12 China Railway Construction China
*13 Daikin Industries Japan
*14 Asahi Glass Japan
15 Eiffage France
16 FCC Spain
*17 Sekisui House Japan
18 Cemex Mexico
19 Fluor United States
20 Grupo Ferrovial Spain
21 Orascom Construction Inds Egypt
*22 Kajima Japan
*23 Shimizu Japan
24 Skanska Sweden
*25 Daiwa House Industry Japan
26 Enka Turkey
*27 Obayashi Japan
28 Siam Cement Thailand
29 Jacobs Engineering United States
30 Royal BAM Group Netherlands

【Consumer Durables】 上位30社中、日本企業12社!!
*1 Toyota Motor Japan
2 Volkswagen Group Germany
*3 Honda Motor Japan
4 Daimler Germany
*5 Nissan Motor Japan
*6 Denso Japan
7 Hyundai Motor South Korea
8 Fiat Group Italy
9 BMW Group Germany
10 Porsche Germany
*11 Fujifilm Holdings Japan
12 Renault France
*13 Suzuki Motor Japan
*14 Toyota Industries Japan
*15 Aisin Seiki Japan
16 Michelin Group France
17 Ford Motor United States
18 SAIC Motor China
*19 Bridgestone Japan
*20 Mitsubishi Motors Japan
21 Peugeot Groupe France
*22 Mazda Motor Japan
23 Johnson Controls United States
24 Hyundai Mobis South Korea
25 General Motors United States
*26 Isuzu Motors Japan
27 Continental Germany
28 Whirlpool United States
29 Genuine Parts United States
30 Fortune Brands United States

【Household & Personal Products】 上位30社中、日本企業4社
1 Procter & Gamble United States
2 L'Oréal Group France
3 Christian Dior France
4 Kimberly-Clark United States
5 Henkel Group Germany
6 NIKE United States
7 Colgate-Palmolive United States
8 Inditex Spain
9 Reckitt Benckiser Group United Kingdom
10 Richemont Switzerland
11 SCA-Svenska Cellulosa Sweden
*12 Kao Japan
13 Adidas Germany
*14 Toray Industries Japan
15 Luxottica Group Italy
16 Avon Products United States
17 Beiersdorf Germany
18 VF United States
19 Swatch Group Switzerland
*20 Shiseido Japan
21 Clorox United States
22 Estee Lauder Cos United States
23 Mattel United States
24 Hermès International France
25 Polo Ralph Lauren United States
26 Coach United States
27 Eastman Kodak United States
*28 Makita Japan
29 Hasbro United States
30 Energizer Holdings United States

【Materials】 上位30社中、日本企業5社
1 ArcelorMittal Luxembourg
2 BHP Billiton Australia/United Kingdom
3 Rio Tinto United Kingdom/Australia
4 Vale Brazil
*5 Nippon Steel Japan
6 Xstrata Switzerland
7 Posco South Korea
8 Anglo American United Kingdom
*9 JFE Holdings Japan
10 China Shenhua Energy China
11 MMC Norilsk Nickel Russia
12 Baoshan Iron & Steel China
13 Areva Group France
*14 Sumitomo Metal Inds Japan
15 Nucor United States
16 Barrick Gold Canada
17 Severstal Russia
18 Tata Steel India
19 Aluminum Corp of China China
20 Metalurgica Gerdau Brazil
*21 Kobe Steel Japan
22 China Steel Taiwan
23 CSN-Cia Siderurgica Brazil
24 Newmont Mining United States
25 Novolipetsk Steel Russia
26 Evraz Group Luxembourg
27 Steel Authority of India India
*28 Sumitomo Metal Mining Japan
29 Angang Steel China
30 US Steel United States

【Semiconductors】 上位25社中、日本企業3社 ※トップ2000に25社しか無い
1 Samsung Electronics South Korea
2 Intel United States
3 Taiwan Semiconductor Taiwan
4 Texas Instruments United States
5 Applied Materials United States
*6 Tokyo Electron Japan
7 Hynix Semiconductor South Korea
8 STMicroelectronics Switzerland
9 MediaTek Taiwan
10 ASML Holding Netherlands
*11 Rohm Japan
12 United Microelectronics Taiwan
13 Analog Devices United States
14 Broadcom United States
15 Linear Technology United States
16 Xilinx United States
17 Micron Technology United States
18 Altera United States
*19 Sumco Japan
20 Siliconware Precision Inds Taiwan
21 MEMC Electronic United States
22 Microchip Technology United States
23 Infineon Technologies Germany
24 Nvidia United States
25 Advanced Micro United States

【Technology Hardware & Equip】 上位30社中、日本企業13社!!
1 Hewlett-Packard United States
2 Cisco Systems United States
3 Nokia Finland
*4 Sony Japan
*5 Panasonic Japan
6 Apple United States
*7 Canon Japan
8 Dell United States
9 Hon Hai Precision Ind Taiwan
10 Ericsson Sweden
*11 Toshiba Japan
*12 Nintendo Japan
13 Qualcomm United States
*14 Sharp Japan
15 EMC United States
*16 Ricoh Japan
*17 Fujitsu Japan
*18 Kyocera Japan
19 Corning United States
*20 Hitachi Japan
21 Research In Motion Canada
22 Tyco Electronics Bermuda
23 AU Optronics Taiwan
24 Asustek Computer Taiwan
*25 NEC Japan
26 Motorola United States
27 Quanta Computer Taiwan
*28 Murata Manufacturing Japan
29 Chi Mei Optoelectronics Taiwan
*30 TDK Japan


いずれの業種も人口比率からすると大健闘だと思いますが、特に圧巻は"Consumer Durables"(耐久消費財)と"Technology Hardware & Equip"(先端機器・設備と訳すか?)ですね。世界トップ30の半数近くが日本企業です。
こんな国で、理工系離れが進むなんてとんでもないと思いませんか?

MN

2009年7月1日水曜日

今日は何の日?

今日は2009年7月1日です。7月1日は、あなたにとって何の日でしょうか?

もちろん、富士山の山開きの日だったり、明石家さんまの誕生日だったり、人によって思い入れはそれぞれでしょうけど....
エレクトロニクスに関わるある程度の年齢の人は、「ポータブルオーディオの誕生日」と記憶しているかもしれません。
ちょうど30年前、1979年7月1日に、ソニーから初代ウォークマン が発売されたのです。

そのころ、私はギターを鳴らすフォーク(古っ)少年であり、電子工作マニアであり、ハイファイオーディオに目覚めかけたソニーファンの中学生でもあったので、この製品には衝撃を受けました。
ハードウェア的にはそれほど目新しいわけでもなかった(それまでにも、このサイズのテープレコーダーはあった)のですが、当時の水準よりはるかに小さくて軽いヘッドフォンが付属し、外でも「ステレオで」音楽を聴くというスタイルに特化したところが新しかったのです。それまで、外で音楽を聴くというと、小型のモノラルラジオを持ち歩くか重くて大きいステレオラジカセ(これも死語か)を持ち歩くかが一般的だったのですが、どちらもハードを意識することなく良い音で音楽に浸るというには無理がありました。ところが、ウォークマンならそこそこの音質でどこに行くにも音楽がついてくる、というところが大きなインパクトでした。この斬新であったライフスタイルは、その後MDウォークマン(のたぐい)やiPod(のたぐい)に形を変えて今でも生き残っていますね。そのような、世界中で人々のライフスタイルを変え、やがて当たり前の文化として定着するに至った偉大な製品が生まれたのが30年前の今日、しかも日本の企業からだったのです。
ソニーは、これによって世界中の人から愛され尊敬される企業になったと言っても過言ではないでしょう。

近い将来、また日本のいずれかの企業が、世界中の人々に新しい感動を与えるようなモノを生み出すことを祈ってやみません。

MN

2009年6月16日火曜日

カミナリ

地震・カミナリ・火事・おやじ

昔の言い習わしで、「恐いもの」の代表例です。
「おやじ」が恐くなくなったと言われ出してから、すでに20年くらいは経っているかもしれませんが、他の3つは今でも時折死者が出る恐い災害ですね。

実は、今晩自宅にいて、落雷と同時に短い時間ですが停電がありました。
いまどきカミナリ程度の停電では、せいぜい数分のうちに復帰しますから、家庭での停電自体は恐くありません。(東京電力さんに感謝!)
でも、我々のような真空装置を使う実験屋にとって停電ほど冷や冷やするものはありません。
コンピューターだったら、重要なところにはUPSが入っていて数分の停電なら大丈夫(研究室のシミュレーション用ワークステーションはUPSにつながっていますし、webサーバーは自動的に復帰します)ですが、しょっちゅう改造する大学の真空装置などについては、さすがに停電対策が十分にはされていない場合が多いからです。
うちの研究室にも、停電になるとやっかいなことになる常時稼働装置がいくつかあるので、先ほどの停電のときもあわてて何人かの院生に連絡をとって、装置の現状を確認しました。
それでも担当院生に連絡が付かず、運転中かどうか不明な装置があったので、大学まで確認に行って先ほど帰ってきたところです。
装置と運命を共にしている担当院生ではなく、教員が直接こんな心配をしなければならなくなったってのは、まったく情けない話です。

MN

2009年6月8日月曜日

SID2009トピック

Society for Information Display (SID) 2009 International Symposium, Seminar, and Exhibition が現在テキサス州で開催されています。
当研究室からは誰も行っていませんが、TechOnの紹介記事から気になるトピックを拾ってみました。

Arizona州立大など,量産可能なフレキシブルTFT基板上に有機ELディスプレイを作製
ここのグループは、かなり前に当研究室を視察にきたことがあります。
でも、TFTはa-Siか....

Samsungが酸化物半導体TFTを塗布法で作製,ディスプレイを出展
こっちはa-IGZOか....

展示会が開幕——今年のキーワードは「低消費電力」「有機TFT」「3D」
有機TFT研究は、まだまだ続きます!

SIDへの参加者激減,「日本人と中国人が来ない」
日本人に関しては、新型インフルさわぎが影響しているのでしょうね。

新技術の採用に積極的なLG Displayが未来を展望——基調講演から
今後期待する新技術は、「3Dホーム・テレビ」、「壁全体がディスプレイになるウォール・ディスプレイ」、「フレキシブル・ディスプレイ」などだそうです。

「100年光り続けます」,DuPont Displayが長寿命の有機EL材料を開発
緑色発光材料についてらしいですが、「1000cd/m2からの輝度半減期が100万時間を越えた」そうです。

Plastic Logic社が「プラスチック電子ディスプレイ革命」を語る——基調講演から
「自由に曲げられることが,ディスプレイの工業デザインに革命をもたらす」だそうです。
実際、最近の日本のエレクトロニクス製品って、ワクワクするような新機能とか所有したくなるデザインという面で弱いように思いますね。

有機TFTを用いたフレキシブル有機ELディスプレイ,ソニーが発表
それでこそソニー!

期待の高さを感じさせたフレキシブル有機ELのセッション
でも、TFTの大勢は今のところ無機半導体のようです。

MN

2009年5月30日土曜日

売り手市場?買い手市場?

今年は、どこの大学もM2の皆さんが就職活動で苦戦を強いられているようです。昨年の楽勝ムードとはまるで様相が異なっています。
一説によると、今年はかの就職氷河期(広義には、卒年で1992年〜2006年だそうです)の底と同レベルなのではないかと言われています。
来年度新卒採用が最終的にどうなるのかは、もう少したってみないとわかりませんが、前々から疑問に思っていたことがあるので、ここでいくつかのデータとともに、その概要を紹介します。


このグラフは、最近約20年間の大卒求人倍率推移です。
私は、何を隠そう1990年修士修了のいわゆる「バブル入社組」でした。(「新人類」とか「ジェネレーションX」と呼ばれた世代ですね。)確かに1990を見るとこの期間で3番目に求人倍率が高い、つまり売り手市場の年だったことがわかります。
そのころと比べて最近の就職事情が悪いと思っている人は多いのですが、どうも個人的な体験として、谷底の超氷河期を除けばそんなに違わないような印象を持っていました。
今日は、それがなぜかを検証してみたいと思います。



次のグラフは、大卒求人数をその年の22歳人口で割った割合(青線、左軸)と、大卒求職者数を同じく22歳人口で割った割合(緑線、右軸)です。
大卒求人数/22歳人口は先ほどの求人倍率の推移と似てはいますが、意外に右上がりだと思いませんか?
1990年前後のバブル期があんまり目立たなくなっていて、2007年からはバブル期を超える求人割合になっているように見えます。
なのに、なぜ求人倍率があまり高くならないのかは、緑線の大卒求職者の割合を見ればわかります。
1990年前後と比べて、同世代のうちで大学に進学し、大卒として求職活動している人の割合が2倍くらいになっているからです。

さもありなん、ですが、これが私の抱いている違和感を説明するグラフではありません。
「違和感は私の見てきた世界に偏りがあることによるのではないか?」と最近気づいたのです。
私自身国立大理系学部を出てメーカーに就職し、そこで仕事をしている間も同僚や仕事でつきあいのある他社の人も圧倒的多数は国立理系出身でした。
千葉大に移ってからも、指導する学生は当然国立理系の学生で、研究上つきあいのある他大学の人たちも、少なくとも国内では国立理系が多数派です。(余談ですが、自然科学系の研究の世界で私立大学の存在感が強いのは、私の知る限りアメリカだけです。)
「はは〜ん。ということは、国立大学という集団を見ていることに原因があるのではないか?」と思ったわけです。



そこで、こんなグラフを作ってみました。
赤線は国立大学の各卒業年度に相当する入学時定員(左軸)、青線は先ほどの求人倍率の分子として使った大卒求人総数(右軸)です。(国立大の定員については、古い情報がすぐには手に入らなかったので、ある程度推計値を使っています。)
国立大学は国内全大学数の1割程度しかないので、人数も少ないですから、左軸と右軸はスケールを変えてあります。
これを見ると、国立大学の入学者数は驚くほど変わっていないことがわかりますね。
どうやら、私の思っていた違和感はこれである程度説明がつきそうです。
世の中の求人数は確かにこの20年間の間に乱高下していますが、国立大学生数を基準にして見ると、最悪の時期でもその4倍くらいの求人があるわけです。しかも、この数年はバブル期を超える求人数があります。
最初のグラフで見た大卒求人倍率の低下傾向は、1990年代半ばから私立大学卒業生がどんどん増えてきたことによるんですね。
その是非はともかく、私の見てきた世界は、国立理系に偏りぎみの世界でしたから、この分母の変化をあまり実感しなかったんでしょう。

本当は、製造業大手限定の大卒求人数推移などのデータも見ながらさらに検証を進めたかったのですが、そういうデータがなかなか長期間そろいません。もう少しデータが集まったら、また検証の続きを行いたいと思います。

MN

2009年5月27日水曜日

薄膜・表面物理セミナー「有機機能性材料・デバイスの薄膜・表面分析」

応用物理学会 薄膜・表面物理分科会主催の第37回 薄膜・表面物理セミナー(2009)「有機機能性材料・デバイスの薄膜・表面分析」が、6月26日に東工大大岡山キャンパスで開催されます。

担当幹事の一人が中村なので、薄膜・表面物理分科会の行事ながら内容がどっぷりと有機エレクトロニクス材料です。

プログラム:
XPSにおける有機材料の試料損傷(仮) 當麻 肇(日産アーク)
XPSとTOF-SIMSによる高分子薄膜材料解析の最新技術 前川 敏彦(富士フイルム)
クラスターイオンを用いた有機材料の質量分析(仮) 平岡 賢三(山梨大)
MALDI-MSによる有機薄膜材料の構造解析 田口 嘉彦(東レリサーチセンター)
Backside SIMSによる有機ELの劣化評価 宮本 隆志(東レリサーチセンター)
NMRによる有機デバイス材料の評価 梶 弘典(京都大)
ESRによる有機デバイスの評価 ―キャリヤ輸送の微視的理解に向けて 長谷川 達生(産総研)
機能性有機材料の光電子分光および逆光電子分光 金井 要(岡山大)
走査型プローブ顕微鏡による有機薄膜FETの評価 小林 圭(京都大)

特に、学生の人は参加費3,000円とお得になっています。
参加申し込みの締切は6月12日(金)です。
こちらから参加申し込みできますので、皆さんこぞってご参加下さい。

※まだ、会場席数に余裕があるようです。

MN

2009年5月14日木曜日

2009年の国際会議

以前のブログサーバートラブルのおかげでタイミングを逸しましたが、今年開催される有機エレクトロニクス関連の国際会議をリストアップします。まだ少ないですが、随時追加します。
時々情報が更新されますので、ご注意下さい。

PD、ドクター学生だけでなく、マスターの人も是非発表を申し込んで参加しましょう!
もちろん発表する人には旅費の補助が出ます。



10th International Conference on Atomically Controlled Surfaces, Interfaces and Nanostructures (ACSIN 10)
2009/9/21-25 Granada, Spain
アブストラクト締切:4/24 <<終了>>
レジストレーション締切:7/15

2009 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM 2009)
2009/10/7-9 仙台, Japan
アブストラクト締切:5/29 9:00am 締切延長
レートニュース締切:7/27

2009 E-MRS Fall Meeting
2008/9/14-18 Warsaw, Poland
アブストラクト締切:5/11 <<終了>>
レジストレーション締切:7/31

The 8th International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Ferromagnets (ISCOM2009)
2009/10/7-9 ニセコ, Japan
アブストラクト締切:5/20
レジストレーション締切:7/31

2009 MRS Fall Meeting
2009/11/30-12/4 Boston, USA
アブストラクト締切:6/23

The 9th International Symposium on Functional Pi-Electron Systems (FPi9)
2010/3/23-28 Atlanta, USA
アブストラクト締切:2010/1/15
レジストレーション締切:3/1

2009年5月6日水曜日

ask not what your country can do for you...

しばらく英語から離れていて英語勘が鈍ったなと感じた時とか、これから国際会議に出かけるので、英語の耳慣らしをしておきたいと思った時、第35代アメリカ合衆国大統領であるJ. F. ケネディの大統領就任演説を聴きます。
アメリカの3大演説の一つ(他二つが何かは知らないんですけど。すくなくとも一つはキング牧師の"I have a dream.."でしょうか?)に数えられていますから、多くの人が何度か聞いたことがあるでしょう。

元の演説の動画もネットで見ることができますが、オリジナルはあんまり音が良くないので、最近ではiTuens Storeで英語教材として売っている朗読ポッドキャストを聞いています。皆さんもぜひお試しあれ。

スピーチとしての内容も語り口も優れているのはお墨付きですが、その中の一節でこんな文章があります。


... my fellow Americans, ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.

My fellow citizens of the world, ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.


時代背景として、東西冷戦まっただ中でキューバやベトナムでごたごたしている時期の演説ですから、ケネディ元大統領自身は特定の意味を込めているはずです。しかし、この文章、極めて印象的で汎用的なので、様々なところで自分勝手に引用されています。

私自身も、ときどき自分への戒めにこの文章を唱えることがあります。
この"Ask not what your XXX can do for you; ask what you can do for your XXX."のXXXを、何かに変えるのです。
例えば、会社に待遇や評価で不満ばっかりつのって、自暴自棄になっているとき:
Ask not what your company can do for you; ask what you can do for your company.
あるいは、大学という場が自分にとってプラスになっていないと思ってやる気が失せたとき:
Ask not what your University can do for you; ask what you can do for your University.
(大学教員が学生に向かって直接こんなこと言ったら、自己都合的だと思われるか!?)

大学の研究室も会社も、もっと大きくなって国家であろうと、結局は個々の人間の集合体ですから、一人一人が積極的に良かれと思うことを実行していくことが全体を良くすることにつながるはずです。

MN

2009年4月2日木曜日

応物学会@つくば


この春も、応物学会のシーズンになりました。
今年は、3月末から4月頭にまたがってしまったため、卒研説明会と重なったり、M2の人が発表不可能になったり(そもそも、修了した人が自発的に発表することなど、めったにありませんが....)なにかとやりにくい日程でした。
本日(1日)には、当研究室関連の発表もすべて終了し、何人かのOBや関係者も加わって打ち上げもすませました。
(院生の出席率があまりにアレなので、写真は割愛します。)


つくば在住のOB、大橋君もますます元気そうでした。
写真は、自転車にて颯爽と現れた大橋君。(本人の希望で、顔はモザイクにしました。)
その調子で、仕掛かりの論文もよろしくね。

MN

2009年3月22日日曜日

減点主義と加点主義

あるベンチャー企業の社長がブログかなにかで意見を書き込んでいるのを目にした記憶があります。
曰く、日本の社会は減点主義である。ベンチャー企業というのは、本来ゼロからスタートするわけであるから、最初は加点主義で始まる。しかし、成長するに従って減点主義の人たちが現れてきて、チャレンジ精神を奪ってゆく。減点主義に陥ったベンチャー企業はただの零細企業であると。(記憶で書いているので、違ったらゴメンナサイ。)

私は、大学における教育も研究も加点主義であるべきだと考えています。(私の講義を受けたことのある人なら、加点方式のレポートや質問加点などで恩恵を被ったことないですか?)
教育においては、そもそも大学まできたのなら、得意分野を伸ばすことと、自ら主体的にチャレンジすることが大事だと思うからです。研究においては、言うまでもないですね。無難なことばかりやっていては新しい発見も発明もありませんから。加点主義では、新しく難しいことをやって失敗することはプラスに評価されます。失敗を次のチャレンジに活かせば良いのです。

人間関係でも、加点主義のほうが良いそうです。
相手の悪いところばかり見るとまさに悪循環に陥って、かならず人間関係が壊れます。誰かのことが嫌いになりそうになったら、その人の悪い点を思い出すのではなく、その人の良い点を並べたてるのです。子育てなどもそうです。一番やってはいけないことは、「あれをしてはいけない。これをしてはいけない。」と次々にダメだしすることだそうです。
これはある小児科医の話だったと思います。その人は、「私は、親の『過保護』が子供をダメにした例を見たことがない。子供をダメにするのは、親が常にあれこれ指示をする『過干渉』である。」というふうに言っていました。

でも、現実に、日本の社会は確かに減点主義の色合いが強いと思います。他人に対して「過干渉」な人も多いように思います。就職における新卒至上主義や、履歴書の空白が大きなマイナスポイントになることなどもその一例でしょう。また、いくら加点主義が良いと言っても、大きな良いことをすれば、小さな悪いことならしても良いのだと考えるのは問題です。
なので、学生の皆さんには、大学でも社会に出てからも、積極的にチャレンジする心はそのままで、どうしても落としてはいけない重要なことは慎重に減点主義を取り入れることをお勧めします。どんな組織にもかならずいる「TVドラマの教頭先生タイプ」の減点主義者につけいる隙を与えないようにしてください。

MN

2009年2月1日日曜日

Michael Krögerさん来訪


1/30に、Princeton大学のKahn先生のところでポスドクをやっているMichael Krögerさんが当研究室を訪問されました。
(写真は、研究室ではなく、焼き鳥屋ですが....)

G-COEセミナーとしての研究紹介の他、ラボツアーや個別の研究ディスカッションなどで、こちらも充実した一日を過ごすことができました。我々と同じく、彼もドーピングについて突っ込んで研究しているので、いろいろと参考になりました。院生の人も何人か直接ディスカッションを行っていましたが、良い経験になったことでしょう。

Thank you, Dr. Kröger!