2011年12月26日月曜日

南都焼討

「焼酎」じゃありません。「やきうち」です。

昨日、私用で春日大社に行くことがあって、高台からちらちらと近隣の東大寺興福寺を眺めながら、「確かに歴史は感じるけど、法隆寺と比べると建物が新しいからなぁ」と勝手に格下あつかいにしてしまいました。
もちろん、東大寺も興福寺も奈良時代にできた寺なのですが、どちらも現存する建物の大部分は鎌倉時代〜江戸時代に再建されたものです。ものによっては何度も燃えています。
解説などを見ると、特に激しく破壊されたのはタイトルにある南都焼き討ちのときだそうです。830年ほど前の出来事。

「南都焼き討ち?」
高校時代歴史嫌いだった私の頭では、霞の遙か彼方、そういえば聞いたことがある、という程度の記憶です。
家に帰ってから調べて見ると・・・なるほど、平清盛が平家に反抗する南都寺院を息子の平重衡に襲撃させたあれ、平家物語で知られる日本有数の内乱「治承・寿永の乱」の一部でした。

う〜ん。主犯は清盛さんじゃないですか。
我が郷里、津市生まれの数少ない歴史的超有名人じゃないですか。
(そういえば、 2012年のNHK大河ドラマは平清盛ですね。主演マツケンで。今年の主役、江姫も一時期津城で過ごしましたが、今度も特にロケはなさそうです。)

別に子孫でもなんでもないですが(というか、万一そうだったら、天皇家とも遠い遠い親戚になる可能性があるわけで。いや、そもそも清盛の家系は断絶したはず。)、今度参拝したときには「ゴメンナサイ」とお詫びしておこうと思います。

今日は、科学技術とも研究とも関係のない、とりとめのない話でした。

2011年12月21日水曜日

松井先生・平本先生来訪

NAIST科学技術セミナーの講師として来校された先生方のうち、ナノインプリントの研究で有名な松井真二先生が午前中、低分子有機太陽電池のパイオニアの一人である平本昌宏先生が終了後の夜に研究室を訪問されました。
慌ただしいスケジュールの中での訪問ではありましたが、当研究室の現在の様子を知って頂けたと思います。

写真は、当研究室で太陽電池関連テーマを担当している関東さんとともに写真に収まる平本先生です。
せっかくですので、研究室にあった先生ご執筆の本にサインもお願いしました。

御利益があることを期待してます!−>関東さん

2011年12月10日土曜日

教科書

修理に出していたMacBook Proの引き取りついでに、来期担当予定の講義の参考のための教科書を買いだしに行きました。
奈良先端大に来てからは、ちょっと珍しい本など買いに行く場合、たいていジュンク堂 千日前店に行きます。
大阪の人はよく知っているでしょうけど、この千日前店は「なぜここに巨大書店が?」と思えるくらいにぎやかなスポットにあります。
右の写真は、入り口のところでテレビの録画撮りをしている「ジャルジャル」(たぶん...間違ってないですよね?)のみなさん。
こんなロケ現場にも、よく出くわします。
何しろ、向かいが笑いの殿堂「なんばグランド花月」、下が「NMB48劇場」ですから。
そういえば、前回はNMBメンバーの撮影にも出くわしました。

いや、そういうナンパな理由ではなく、このジュンク堂の2階には、なんとか大辞典や岩波の歴史的な教科書まで、教科書・専門書類がかなりそろっているんです。
本日は、四冊で合計1万円ちょっとの出費でした。
もちろん、私費です。

最近、こういう専門書を置く書店がだんだん減っています。かつて大学の周辺には書店や古本屋が集まっていたのですが、それも閉店が続いています。それどころか、学内の書店までなくなってきています。
最近の大学生は本や教科書を買わないのだそうです。

教科書は、自腹で買ってこそ見返りに役に立つものを得なければと思って勉強しますし、心置きなく書き込んだり印をつけたりもできます。
大学レベルの教科書こそ、高いとは言え自腹で買うべきだと思います。凡人にとって、とてもすべて頭にはいるものではないですから、外部メモリとして後々のために残しておくという役割もあります。
加えて、知識や知的活動には正当な対価を払うべきです。
そういえば、自分が働いている、あるいは、働いていた会社に対して、発明に対する正当な対価を求める訴訟が一時期相次ぎましたが、あの方々は教科書やハンドブックをコピーで済ませたりしていないと信じたいです。

最後におまけ。
難波から奈良に向かう近鉄電車が生駒山を登るときの車窓からの眺めを貼っておきます。
写真ではあの雰囲気が出ないのがつらいところですが。

2011年12月5日月曜日

ボストン定点観察

MRS Fall Meetingは、私の知る限りずっとボストンばかりで開催されています。
数えてみると、最近10年間で7回参加していましたので、ほぼ毎年のように年末のボストンを訪れていることになります。
そこで、21世紀初頭の10年間にボストンの街およびMRS Meetingに生じた変化を、独断ではありますが書き連ねてみたいと思います。

・ボストン市内で日本車が増えた
もちろんカリフォルニアあたりに行けば80年代から日本車だらけですが、東部大都市の都心部では2000年ごろにはそれほど多くは見かけませんでした。特にタクシーなんてアメリカ車ばかりだったのですが、ここ最近になってタクシーが急激にトヨタ車に変わってきています。しかもハイブリッドです。
今日乗ったタクシーの運転手ともその点を話したのですが、以前のフォードと比べて一日走り回った後のガソリン代が20ドルくらい安くなったそうです。
ホテルの前に乗り付けるちょっとリッチそうな人たちの自家用車も、メルセデスやBMWはほとんど見かけず、レクサスか日産が多かったです。
これだけ目立つと、この前のトヨタバッシングのようなものを仕掛けよう(あるいは敢えて黙認しよう)と思う人がいても不思議じゃないですね。

・貧困状態の人が増えた
以前はダウンタウンをうろちょろしていてもあからさまに物乞いしている人はそれほど見かけませんでしたが、今年は会場近辺だけで2人も見ました。しかも一人はホテルの前でやって、ガードマンに追い出されていました。さらに、これもホテルの前で、社会保障関係で抗議してるデモ隊までいました。こういうデモに出くわしたのは、ボストンでは初めてです。
世界的に普通の人々の敵となっている(と私は思っています)アメリカ式新自由主義経済のせいで、足下までやばいことになってきているのではないでしょうか。

・携帯電話の変遷
10年ほど前のボストンでは、通話とSMSのみの小柄な携帯が主流でした。MRS会場の近辺で見る限り、2000年代前半のうちにブラックベリーなどのスマートフォンに変わり、次にみんなこぞってiPhoneに、今はそれに様々なアンドロイドフォンが加わってバリエーションが増えてきたという感じです。アメリカのビジネスマンは日本人よりはるかにガジェットについて新しもの好きですね。それにあわせて、ショッピングセンター通路のスタンドで売っているケースも売れ筋が変わってきています。MRSの会場がボストンのビジネスエリアなので、特にはやり廃りが速いのでしょうね。

・どこでもインターネット
これはボストンに限ったわけではありませんが、町中や乗り物の中などWiFiが使える場所がかなり増えました。
例えば、この記事を投稿しようと思ってブログを開けたのは、ボストンからデトロイトへ向かう上空です。書き始めたらかなり長文になったので、空中から更新はできませんでしたが...
まだ日本国内でWiFiが使える路線はないですよね。(自信はない)

・MRS Fall Meetingで日本人参加者が減った
10年くらい前だと、日米合同会議かと思うほど日本人参加者を沢山見かけたのですが、今年は特に少なかったです。
知り合いの日本人となぜだろうと話していたのですが、さすがに確かなところは言えません。おそらく、(1)次の春に応物との合同セッションがあるからそちらに流れた、(2)震災後に科学研究費補助金の交付が30%カット(その後結局復活しましたが)されたので、申し込み段階で参加する人数を絞った、(3)そもそも6月の参加申し込み時に震災後の対応でそれどころではなかった、のいずれかあるいは複数の理由によるのではないかと思っています。
ただし、企業の人はここ数年皆無といってよい状態になってきています。これも大問題。MRSは比較的実用化まで近い技術の発表が多いのに。

・Poster Awardに韓国からの発表が多く選ばれるようになった
もちろん、韓国からの参加者が非常に多い(特にPoster Awardの対象になる若い人の参加は明らかに韓国>日本でした)ということもあると思いますが、研究の平均レベルもすごく高くなってきていると思います。また、国や企業が大きな予算を出している研究も多く見られます。我々有機エレクトロニクス関連分野でも、基礎はともかくOLEDやRFIDタグなどの実用化研究は明らかに韓国に押されています。

なお、偶然ですが、この文章ここまでタイプしたときにランダムプレイ中のiPodから流れてきたのは'Boston'の名曲、More Than a Feelingでした。
… So many people have come and gone, their faces fade as the years go by …

2011年12月1日木曜日

2011 MRS Fall Meeting

(ほぼ)毎年恒例のMRS Fall Meetingに参加するために、ボストンに来ています。
今年は、次のSpring Meetingで応物学会とのジョイントがあるからか、何となく日本人の参加が少ないように思えます。

私の発表は、火曜日午後に無事終わりました。最近ヨーロッパ方面との交流のほうが多いのですが、やはり基礎的な話に食いついてくる人が特にここMRSでは減ってしまった印象があります。それでも、以前から交流があるFrisbie先生を始め、何人かのこちらの研究者とディスカッションできたので来た甲斐がありました。

シンポジウムUでの感想ですが、なんとなく皆さんの研究が発散してきて、大勢での議論にはならないという傾向は強くなってきています。今大勢が集まっているのは太陽電池のほうなので、それ以外は次を模索している段階でしょう。
このシンポジウム内で今回一番のお気に入りは、Stanford UniversityのSalleo先生の発表です。XRDを使って有機薄膜のparacrystallinity parameterを精密に評価し、キャリア輸送特性との関係を考察したものですが、ポリマー半導体の場合、よりディスオーダーの度合いが強い方が平均移動度が大きいケースがあるというところで納得。低分子薄膜でも、結晶粒界で特に律速されているものとそうでないものがあり、多結晶であるのに構造秩序性が高いものは結局粒界がより低抵抗になることがありますから。

写真がないのも寂しいので、ひとまずこれを。

これも毎回恒例、ロブスターです。
行きつけのシーフードレストランですが、今回は、一緒に行った李君と千葉大の酒井先生がボストン初めてということもあり、めいっぱいでかいやつを頼んでみました。これも円高のおかげです。
本当は、もっと小さいやつのほうがおいしいのですけどね。