2012年6月17日日曜日

住宅はどこまで進化できるか?

私事ですが、家族共々新居に引っ越して約二週間が経過しました。
今度の家は、いろいろ個人的な実験も兼ねています。テーマは、21世紀の文明的な暮らしを、いかに持続・発展させるかです。

まず、高気密・高断熱・熱交換換気で、どこまで効果的に冷暖房できるかを課題としてます。
前任地で家族と住んでいた家と比べると格段に保温性能が上がっているので、最高気温30℃くらいまでで湿度さえ高くなければ、朝まで極軽く1階を冷房しておくだけでその日の夜までエアコンを切っておいても十分快適です。
夏と冬の調湿をいかに効果的にするかを、今後いろいろ試したいと思います。
経験的に、冬の加湿は室内に確保した洗濯物干し場でかなり補えるはずです。

冷暖房も含めて、電気をフル活用しつつ、いかに電力消費のセーブとピークカットに貢献できるかが、最大の課題です。
冷暖房は高気密・高断熱・熱交換換気で効率を上げるとして、照明は今回これでもかというくらいLEDと蛍光灯化しました。今のところ両者の効率に大きな差は無いので、適材適所で両方使っています。
エントランスまわりはは基本的に全てLEDです。人感センサも活用して、人がいるときだけ十分な明るさになるようにしています。庭のLED照明は、太陽電池で自立しています。
屋内も、半分くらいはLED、残りもほぼ蛍光灯です。まだ以前から使っている照明器具の一部に電球の常夜灯などが残っていますが、近いうちに白熱電球は完全に駆逐するつもりです。また、消し忘れが出やすいところは、なるべく人感センサを付けています。

常夜灯の代わりになるレベルの蓄光材料が欲しいですね。


関西圏では、年間電力消費のピークは夏の昼間です。このピークカットに貢献するのは、なんといっても太陽電池です。
いまのところ晴天時の正午前後は5kW近く発電していますが、薄曇りでまったく青空が見えない日でもお昼前後ならなんとか2kWくらいは発電しています。日中はなるべく電力を消費しないようになっているので、この大部分は周辺地域に提供されているはずです。
電力網は、まだスマートグリッド化されていないはずです。太陽光発電の普及とともに送電のスマートグリッド化が進めば、日中に住宅地から商業地へまとまった量の電力が供給できるようになるのではないでしょうか。
日射量の変動による発電量の短周期変動は、メガソーラーのような集中太陽光発電では大きな問題になるでしょうけど、各戸での分散太陽光発電なら変動がかなり平滑化されるでしょう。時間スケールの変動なら火力発電所や水力発電所の制御でなんとかなるはずです。

この2週間は、曇りの日が多かった上にエアコン除湿も結構使ったのですが、それでもこの期間の収支を見ると、消費電力量よりは自前で発電した電力量のほうが多くなりました。引っ越し前の5月後半は晴天が多かったので、その時期に普通に生活していたとしたら、その期間の発電量/消費量は200%程度になっていたはずです。
ちなみに、これでもお湯は電気で作っています。それも太陽熱でやるという手がありますが、太陽電池と場所を取り合いますから...
もったいないなと思うのは、お湯を作るためのヒートポンプと冷房/除湿のためのヒートポンプが独立していることです。これもスマートに連携できれば、夜間限定ですが部屋を冷やすために奪った熱でお湯を作れるのですけど、効率的に連携できる時期が限られるので難しいでしょうか?

このヒートポンプ類がくせ者で、首都圏の狭小住宅密集地で大型のものを使うと、近隣への騒音が問題になります。効率の点からは、電気による熱輸送の最適解なのでしょうけど、それが使えない場合のために、ペルチェ素子が格段に高効率になると良いのですが...

窓ガラスには熱線反射フィルムが貼られていますが、同じように可視光透明だけれども紫外光と赤外光によって発電するフィルムがあれば、窓の多い建物ではそこそこの発電量が得られるのではないでしょうか。断熱性が犠牲になる可能性が高いので、総合的にどちらがエネルギー収支に貢献するかが課題です。
排熱を使った発電も、同じく断熱性との相反が問題になるでしょう。エネルギー問題の解決は一筋縄ではいきませんね。

なお、昨年関東で輪番停電を体験して懲りたので、ノートPCだけでなくデスクスタンドも停電時4時間くらいはバッテリー動作するようにしています。もちろん、太陽電池の自立運転で、日中1部屋だけならそこそこ電気を使って生活ができるようになっています。断熱エリア外の部屋もあるので、そこでキャンプ用コンロを使えば、数時間の停電がお昼時に来てもなんとかなるかと思います。
でも、実験室が止まるのが痛いですね。