2014年12月6日土曜日

MRS Fall Meeting 無事終了

有機熱電のシンポジウムに一挙4件投稿したMRS Fall Meetingでしたが、全員発表を終えて無事終了しました。熱電チームの皆さん、お疲れ様。

伊藤君の発表風景












阿部君の発表風景












阿部君のポスターの右上の番号札のところにリボンがついているのが見えますでしょうか?
これはポスターアワードの候補になったことを表すリボンです。でも、残念ながら、最終選考でアワードに残れなかったようです。惜しかったですね。

2014年12月3日水曜日

MRS参加中

恒例のMRS Fall Meetingに参加するためにボストン滞在中です。

MRSでは、パラレルで開催されるシンポジウム(日本の学会で言うところの中分類や領域に相当しますが、毎回異なるオーガーナイザーがプロポーザルを出します)の数がどんどん増えきています。さらに、専門分野というよりは、その時々の研究トレンドのキーワードによってシンポジウムが組み変わるので、連続する講演内容の関連生が弱くなってきているような気がします。
このままでは、各シンポジウムのオーラルセッションににおいて、何かを大勢でディスカッションするという機能が弱まっていくような気がするのですが。

ちなみに、オーラルセッションとポスターセッションの間がだいたい3時間空いているので、その間にディナーに出かける余裕があります。
今日は、All NAISTのメンバー(今回は、当研究室から4名、情報機能素子から3名)で、初参加の学生達の希望に従ってロブスターが食べられるシーフードレストランへ行ってきました。
写真でロブスターが判るでしょうか?
一匹は見えていますが、赤い皿の上ですから...


2014年11月20日木曜日

中学生特別授業

今日、明日と、NAISTに近い2つの中学校から1年生の生徒全員を招き、特別授業が行われています。これは、生駒市教育委員会とNAISTが共同で長年行っている理科教育のための恒例の行事で、今回は初めて2つの中学校に枠を拡げ、3回にわけて開催することになりました。これとは別に、NAISTの若手教員や大学院生が中学校に出向いて行う出前授業も行われています。

テーマは「物質が出すさまざまな光」とし、「分子が放つ光」、「なぜ色が見える?」、「生物が放つ光」、「熱と光」の四部構成としました。およそ以下の内容を90分で行う、充実した(しすぎて時間に収めるのが大変な?)内容です。
・光は波、波長で性質が変わる
・全ての物質は原子と分子でできている
・光はエネルギー(励起状態から基底状態に移るとき光が生まれる)
・化学反応で光を作る
・ケミカルライトが光るしくみ
・実際に化学発光を見てみよう → 実験1
・人間の目のしくみ(青、緑、赤を感じる細胞)
・なぜ黄色が見える?
・白色ってなに?
・「ノーベル賞をとった光」白色LEDも実は青色と黄色からできている(2014年ノーベル物理学賞)
・光る生物
・光るタンパク質GFP(2008年ノーベル化学賞)
・生物が光る仕組み(ルシフェリン‐ルシフェラーゼ、イクオリン生物発光→GFP蛍光)
・ルシフェラーゼを光らせてみよう → 実験2
・GFPを光らせてみよう → 実験2’
・分子の振動と光(熱をもつものは光を出す)
・私たちが光っているのを見てみよう(サーモグラフィー実演) → 実験3
・物を暖める方法~熱もエネルギー
・エネルギーの種類とその間での変換(エネルギーは形を変える)
・ボールの運動エネルギーを熱に変える → 実験4
・衝撃吸収ポリマーの応用例
・二つの黒いボール(一方は弾性の高い弾むゴム、もう一方は粘性の高い衝撃吸収ゴム)をテーブルに落として跳ね返りを比較してみよう → 実験5

授業を手伝ってくれた大学院生たちも、「自分が中学生のときに、こんな授業を受けたかった」と羨んでいました。

なお、本日午前の部では、生駒市長、副市長、教育長、教育委員会の皆様も見学に来られました。その様子は、生駒市長の市長日記にも掲載されています。

追記
特別授業の様子は、このあたりのケーブルテレビで流れている生駒市の広報番組でも紹介されました。YouTubeでも視聴できます。

2014年9月25日木曜日

伊藤君、KJF-ICOMEP2014にてYoung Poster Award受賞













International Conference on Organic Materials for Electronics and Photonics (KJF-ICOMEP2014)において、D1の伊藤君が発表した、"Enhanced Thermoelectric Performance by Separated Heat and Carriers Transports in Carbon Nanotube Composites" (PB048)が、Young Poster Awardを受賞しました!

おめでとうございます!

先週の阿部君に引き続き、熱電チームから2週連続の受賞です。
なお、この国際会議では、約250件のポスター講演(そのうち年齢 的に対象者は150〜200人くらい?)の中から12人が選ばれました。

2014年9月20日土曜日

阿部君、応物 Poster Award 受賞


2014年 第75回応用物理学会秋季学術講演会において、当研究室M2の阿部君が発表した、「温度変調に伴うキャリア伝導機構変化を利用した新奇有機熱電材料の探(Ⅱ):巨大ゼーベック効果は定常現象か?」(19p-PA6-17)が、Poster Awardを受賞しました!
 → 応物学会のFacebook タイムライン

おめでとうございます!

なお、応物講演会のPoster Awardは、プログラム編集委員の推薦講演を1次候補として理事等による投票によって決まり、年齢等関係なく全ポスター講演の2%程度に与えられます。

2014 MRS Fall Meeting での当研究室関連の発表

今回の2014 MRS Fall Meetingでは、初めて有機熱電のシンポジウムが開かれます。
当研究室からも熱電メンバー総員攻撃(といってもM2以上)を行いますので、関連する講演リストを紹介します。

Symposium BB: Molecular, Polymer and Hybrid Materials for Thermoelectrics

Paper # BB1.02 
A Broad Survey of Organic-Based Thermoelectric Materials: Which Categories of Materials are Most Promising? 
Masakazu Nakamura, Mitsuhiro Ito, Ryo Abe, Hirotaka Kojima, Ryosuke Matsubara
December 3, 2014 
9:00 AM to 9:15 AM 

Paper: # BB7.05
Novel Organic Thermoelectric Materials Utilizing Temperature-Induced Alternation of Structure and Carrier Transport
Ryo Abe, Mitsuhiro Ito, Kohtaro Takahashi, Hirotaka Kojima, Ryosuke Matsubara, Daiki Kuzuhara, Hiroko Yamada, Tatsuya Yamamoto, Hidenori Yakushiji, Masaaki Ikeda, Masakazu Nakamura
December 4, 2014
8:00 PM to 11:00 PM

Paper: # BB7.08
Formation of Biomolecular Junctions in Carbon Nanotube Composites for the Separate Transport of Heat and Carriers
Mitsuhiro Ito, Naofumi Okamoto, Ryo Abe, Hirotaka Kojima, Ryosuke Matsubara, Ichiro Yamashita, Masakazu Nakamura
December 4, 2014
8:00 PM to 11:00 PM

Paper: # BB7.11
Irregular Thermoelectric Behavior of C60 and Computational Elucidation of Its Origin
Hirotaka Kojima, Ryo Abe, Fumiya Fujiwara, Mitsuhiro Ito, Takuya Hashizume, Takafumi Oguri, Mamoru Kikuchi, Takeshi Watanabe, Tomoyuki Koganezawa, Ryosuke Matsubara, Noriyuki Yoshimoto, Masakazu Nakamura
December 4, 2014
8:00 PM to 11:00 PM

2014年9月14日日曜日

2014年秋応物学会発表

2014年第75回応用物理学会秋期学術講演会での、当研究室関連の発表一覧です。

1. 小栗貴文, 多田圭佑, 渡辺 剛, 菊池 護, 小金澤智之, 中村雅一, 廣沢一郎, 吉本則之:
“In-situ 2D-GIXD 観察によるペンタセン蒸着膜の構造温度依存性”, 第75回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学札幌キャンパス), p.12-??? (2014.9.17) 17a-A5-2.

2. 寺岡拓麻, 松原亮介, 小島広考, 中村雅一:
“低分子真空蒸着における成膜速度の超高速化とFET特性への影響”, 第75回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学札幌キャンパス), p.12-??? (2014.9.17) 17a-A4-5.

3. 阿部 竜, 伊藤光洋, 高橋功太郎, 小島広孝, 松原亮介, 葛原大軌, 山田容子, 中村雅一:
“温度変調に伴うキャリア伝導機構変化を利用した新奇有機熱電材料の探索(II):巨大ゼーベック効果は定常現象か?”, 第75回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学札幌キャンパス), p.12-??? (2014.9.19) 19p-PA6-17.

4. 伊藤光洋, 岡本尚文, 阿部 竜, 小島広孝, 松原亮介, 山下一郎, 中村雅一:
“かご状タンパク質を利用した熱・キャリア輸送制御によるカーボンナノチューブナノコンポジットの熱電性能向上”, 第75回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学札幌キャンパス), p.12-??? (2014.9.19) 19p-A3-17.

2014年9月9日火曜日

2014年度の学会・国際会議など

これから開催される当研究室に関係の深い学会・国際会議等をリストアップします。
※時々情報が更新されますので、ご注意下さい。
院生の皆さんも、どこで発表するかの目標を定めましょう!

International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals 2014 (ICSM 2014)
2014/6/30-7/6 Turku, Finland
アブストラクト締切:2/14 (終了)
レジストレーション締切:4/28

The 8th International Symposium on Organic Molecular Electronics (ISOME 2014)
2014/5/15-16 東京農工大(小金井市)
アブストラクト締切:3/17 (終了)
早期レジストレーション締切:4/16 (終了)

The 21st International Workshop on Active-Matrix Flatpanel Displays and Devices (AM-FPD14)
2014/7/2-5 京都
アブストラクト締切:3/24 (終了)
レートニュース締切:5/7 (終了)
早期レジストレーション締切:6/9 (終了)

The 39th International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz 2014)
2014/9/15-19 Univ. Arizona, Tucson, AZ, USA
アブストラクト締切:4/1 (終了)
レジストレーション締切:

Gordon Research Conferences: Electronic Processes in Organic Materials
New Frontiers in the Chemistry and Physics of Organic Electronic and Opto-electronic Materials
May 4-9, 2014 Renaissance Tuscany Il Ciocco Resort, Lucca (Barga), Italy
アブストラクト締切:4/6 (終了)
早期レジストレーション締切:

2014 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM 2014)
2014/9/8-11 つくば
アブストラクト締切:4/28 (終了)
レートニュース締切:7/10 (終了)
プロシーディングス締切:?(JJAP)

アブストラクト締切:6/1 (終了)
早期レジストレーション締切:7/30 (終了)

2014年 応用物理学会秋期学術講演会
2014/9/17-20 北海道大学
アブストラクト締切:6/12 (終了)
早期レジストレーション締切:8/25
2014/11/30-12/5 Boston, USA
アブストラクト締切:6/19 (11:59 p.m. ET) (終了)
早期レジストレーション締切:
※今回は、当研究室に関係のあるシンポジウムが満載です!
Symposium A: Organic Bioelectronics
Symposium E: Hard-Soft Interfaces in Biological and Bioinspired Materials—Bridging the Gap between Theory and Experiment
Symposium Q: Fundamentals of Organic Semiconductors—Synthesis, Morphology, Devices and Theory
Symposium U: Organic Photovoltaics—Fundamentals, Materials and Devices
Symposium BB: Molecular, Polymer and Hybrid Materials for Thermoelectrics ←注目!
Symposium NN: Mathematical and Computational Aspects of Materials Science

2014/11/2-6 松江
アブストラクト締切:6/27 (終了)
早期レジストレーション締切:9/26
プロシーディングス締切:12/31(e-JSSNT)

KJF - International Conference on Organic Materials for Electronics and Photonics (KJF-ICOMEP) 2014
2014/9/21-24 つくば国際会議場(EPOCHAL TSUKUBA)
アブストラクト締切:6/30 (終了)
早期レジストレーション締切:7/31 (終了)

薄膜材料デバイス研究会 第11回研究集会
2014/10/31-11/1 京都
アブストラクト締切:9月10日(水) 24時(延長されました)
早期レジストレーション締切:10/21

The International Conference on Small Science (ICSS) 2014
2014/12/8-11 Hong Kong, China
アブストラクト締切:9/18
早期レジストレーション締切:10/25

2015 MRS Spring Meeting
2015/4/6-10 San Francisco, USA
アブストラクト締切:11/?

2014年7月4日金曜日

エネルギー収支

今回は、研究にも関連するけど、個人的な実験のお話。

今の自宅も、入居後2年ちょっと経過しました。以前、このブログでも紹介したように、この家はエネルギー自給自足に向けた個人的な実験でもあります。
ここで、2013年の「実験データ」を紹介します。


ちょっと煩雑な図ですが、緑の折れ線はこの1年間の1日ごとの発電電力量です。薄緑で塗りつぶされた分は、発電電力量-消費電力量の収支における黒字分(つまり作った電力のほうが多い日です)、薄赤で塗りつぶされた分は、逆に赤字分です。
我が家の2013年エネルギー自給率は74%でした。冷暖房と給湯を電力でまかなっているわりには、なかなかの自給率だと思います。しかも、原則的に24時間冷暖房を使った結果です。やはり、「高気密・高断熱」の威力はなかなかのものですね。

緑の点線は何かというと、我が家のシステムで毎日がほぼベストコンディションだったら発電できるであろう理想曲線をおおざっぱに引いてみたものです。これはかなり荒い近似なので、いずれもっと精度を上げた経験式と比較してみます。
本来なら一番発電量が多くなるはずの夏場にかけて、梅雨空のせいで見事に大損していることがわかります。
この手のデータを初めて見る人は、「こんなに発電しないのか!?」と思われるでしょう。でも、我が家の2013年年間発電電力量実績 6707 kWhに対して、日照データと工学的な経験式から推定される2013年の総発電量は 6262 kWhです(こちらのサイトを使わせて頂きました)。つまり、これでもこの地域の水準より発電しているほうなのです。

緑と赤の階段状の線は、それぞれ発電と消費の1ヶ月平均電力量です。
いかに冬場に消費電力量が大きいかがわかりますね。
この差の第1の原因は冷暖房です。どちらもヒートポンプによるのですが、夏は外気温最高35℃のときに室温は27℃くらいですから、温度差は最大8℃。それに対して、冬は下手をすると外気温-5℃くらいまで下がります(このあたりは、気候的に東北地方南部太平洋岸相当なのです!)から、室温を20℃に保つとして温度差は25℃もあります。この温度差で熱を逆流させるのですから、大変です。
もう一つの原因は温水器です。これもヒートポンプですが、外気温マイナスのところで水を45℃近くにまで暖めるわけですから、熱を運ぶために要する仕事はさらに大きくなります。
おかげで、12月~2月は大赤字になるわけです。
一方、一番黒字になるのが5月です。これは西日本ならたいていこうなるようです。
日射量が大きいにもかかわらず、梅雨もなく、台風や夕立も来ないからです。さらにもう一つ、気温が高すぎないこともプラスになります。
一般的な半導体では、温度上昇とともにバンドギャップが小さくなります。そんなの大したことないだろうと思われるかもしれませんが、結晶シリコンの場合、25℃に対して70℃では約2割も出力低下します。我が家のパネルは、結晶系ではなく薄膜シリコン系タンデムなので(残念ながら「有機」ではありません ^^)、元々バンドギャップが広いためにこの低下が少なめになります。さらに、「夏場のアニール効果」で効率が回復する現象が拮抗するため、あまり目立ちません。

さて、この収支を改善するには、暖房と給湯の効率をいかに上げるかです。
快適かつ現代的(というより未来志向)な生活を犠牲にしないことが前提ですから、冷暖房をケチるつもりはありません。
まず、ターゲットは給湯です。娘と家内には、冬場に頭を洗う日を間引けと言っているのですが....
今年の冬は、こっそり給湯温度を下げてみましょうか。

2014年6月18日水曜日

2014春SPring-8実験

4月に引き続き、今年度2度目のSPring-8での実験。6/11~14の間、スタッフ総出で出かけました。
今回は、専属カメラマン(?)がいたため、写真がたっぷりあります。抜粋して、実験風景を紹介します。

 SPring-8初登場となるA君。初参加の人には、実験の空き時間に、いかにここの蓄積リング棟が大きいかを体験してもらいます。これは、その旅の途中。
実験で使うスペシャル真空チャンバーを調整中。
今回、有機薄膜の蒸着 in-situ XRD観察の専門家である岩手大の吉本研の皆様との共同実験です。
測定チャンバーがゴニオメータ上に設置されたところです。解る人には解る、迫力の風景です。
この実験には、ともかく人手が必要です。研究室では1人かせいぜい2人で実験していますが、このときばかりは大勢で協力して装置のセットアップや試料作成~測定を行います。
NAIST-岩手大-JASRI合同チームで、何かを打合せ中。
さすが、一眼レフだと良いぼけ味ですね。フォーカスは松原助教。
JASRI小金澤さん、岩手大O君には特にお世話になりました。
小島カメラマン、いつの間にかこんなところに...
NAIST熱電チームのI君とA君。
念のため、A君のほうが日本人標準的な身長です。
新装開店準備中の姫路城。
SPring-8初体験メンバーがいるときには、実験終了後ここに来ることが多いですが、今回は貴重な新品同様の姫路城です。

2014年5月20日火曜日

Batlogg先生およびHo先生セミナー講演

ISOME2014での招待講演のために来日されたETH ZürichのBertram Batlogg先生とNational University of SingaporeのPeter Ho先生にNAISTまでお越し頂き、セミナー講演をお願いしました。


Batlogg先生には、有機単結晶ならびに多結晶薄膜中でのキャリア輸送とゼーベック効果について、結果として1時間半近くセミナーを開いて頂き、学生や他研究室の若手教員の方々も含めてディスカッションを行いました。
それにしても、Batloggグループのルブレン単結晶FETの特性は本当に美しいですね。先生も言われていましたが、大抵のシリコンMOS-FETより教科書的な特性です。私も、良く講義やセミナーで言っていますが、一般論として無機半導体より有機半導体のほうがギャップ内準位がはるかに少ないということを力説されていました。
Batlogg先生の講義はいつもながら分かりやすく、学生達にもうまく質問を誘導して頂きました。質問のご褒美はスイス製のチョコレートでした。


Ho先生には、ポリマートランジスタにおけるポリマー/ゲート絶縁膜界面でのπ骨格の配向評価について講演頂きました。基板表面の化学修飾の効果として、この分野ではよく親水疎水の度合い(例えば水の接触角)で単純に議論する研究が多い中、そんなに単純ではないよ、というのが判る良い例であったかと思います。
実験テクニックとして、いくつか驚かされるものもありました。


さて、お二人には奈良ホテルに泊まって頂いたのですが、実はここには因縁があります。


この壁に掛かっている写真で判りますでしょうか?
ETH Zürich卒業生の中でも、日本人にとって最も有名な人、Albert Einstein先生です。
Einstein先生は1921年のノーベル物理学賞を受賞していますが、実はその決定は保留されており、受賞決定の報を聞いたのは1922年に日本に向かう途中だったそうです。
ノーベル賞受賞直後の有名な科学者の来日(当時、そう簡単にヨーロッパからアジアまで来られませんから)に、日本中で大歓迎されるわけですが、日本中を旅した中で奈良にも2泊されています。
そのときの宿が奈良ホテルで、このピアノはその際にEinstein先生が弾いている姿が写真に撮られた、まさに本物のピアノです。

お二人とも、子供のようにはしゃいでいました。大抵の物理学者にとってEinstein先生はヒーローですからね。

2014年5月13日火曜日

新M1配属

今年は例年より配属時期が早くなり、新M1の配属が決定しました。


試しに、当研究室所属学生の実家住所をプロットするとこんな感じです。ただし、地図が広くなりすぎるので、タイから来たCher君は欄外になっています。

国内について、近畿地方とそれ以外とでちょうど半々ですね。
NAISTは、関西圏にある大学の中では、近畿地方の外から来る学生が多いほうで、H26年度入学M1で近畿地方率は57%だそうです。

当研究室メンバーの近畿地方率は、それより少ないですね。

2014年4月24日木曜日

有機エレクトロニクス研究もこれからが本番

TechOn改め日経テクノロジーOnlineに、4月1日から有機エレクトロニクスのテーマサイトができました。
有機エレクトロニクス関連のニュースが次々と掲載されていますので、是非みなさんもご覧下さい。

2014年4月17日木曜日

NAISTプロモーションビデオ

NAISTの新作プロモーションビデオがNAISTチャンネルにアップロードされています。
なかなかかっこいいですね。


2014年3月14日金曜日

伊藤君、最優秀学生賞受章

M2の伊藤君が前期課程修了者の中から選ばれる最優秀学生賞を授与されました。
3/8のオープンキャンパス(研究成果報告会)において、受賞講演を行いましたので、お知らせします。


左から、垣内研究科長、後期課程受賞者である水野斎君(量子物性科学研究室、前期課程受賞者の大橋賢次君(光情報分子科学研究室)、山下正貴君(有機光分子科学研究室)、伊藤光洋君(有機固体素子科学研究室)。なんと、今回、全員が有機エレクトロニクス関連の研究テーマでの受章です。

 




オープンキャンパスに訪れた人たちの前で研究発表を行いました。

さらに、オープンキャンパス開催中、ポスターを前に質問に答えました。長時間お疲れ様でした。


2014年3月5日水曜日

受験生のためのオープンキャンパス2014

受験生のためのオープンキャンパス2014が3月8日、つまり今週土曜日に開催されます。

もし、NAISTの受験を考えている人がこのブログを見ていたら、是非とも参加をお勧めします。

事前登録は不要で、どの研究室も院生の人たちが熱心に研究テーマについて説明してくれると思います。今回は、当研究室も例年に増して見学対応に力を入れるつもりです。
また、今回、当研究室M2の伊藤君が、最優秀学生賞受賞者として「公開研究業績報告会口頭発表」(あまりPRされていませんが、午前10時〜11時に開催されます)を行います。

有機エレクトロニクスに興味がある人たちの参加をお待ちしています!!

2014年3月3日月曜日

2014年春応物学会発表

2014年第61回応用物理学会春季学術講演会での、当研究室関連の発表一覧です。

柴瀛,村山龍平,小島広孝,松原亮介,中村雅一 :
"ワイドギャップ有機光電変換素子の開放端電圧に関するインピーダンス分光法による解析", 第61回応用物理学会春季学術講演会(青山学院大学相模原キャンパス), p.12-??? (2014.3.18) 18a-PA6-20.

松原亮介,中村峻介,小島広孝,中村雅一 :
"新規多結晶モデルによる有機多結晶膜における移動度制限要因の解析", 第61回応用物理学会春季学術講演会(青山学院大学相模原キャンパス), p.12-??? (2014.3.19) 19p-E16-1.

上田智也,李世光,藤井勝之,小島広孝,松原亮介,中村雅一:
"OFET構造を利用したTHz波センサの基礎検討(II):ゲート電場変調吸収スペクトルのFDTD法を用いた解析", 第61回応用物理学会春季学術講演会(青山学院大学相模原キャンパス), p.12-??? (2014.3.20) 20p-E6-3.

阿部竜,伊藤光洋,高橋功太郎,小島広孝,松原亮介,葛原大軌,山田容子,中村雅一 :
"構造相転移に基づく伝導機構変化を利用した新奇有機熱電材料の探索(I):ベンゾポルフィリン類縁体", 第61回応用物理学会春季学術講演会(青山学院大学相模原キャンパス), p.12-??? (2014.3.20) 20p-E6-7.

2014年2月28日金曜日

エコも継続が力

少し前になるのですが、奈良県内、明日香村のさらに南の山中にある壺坂寺(正式には、壷阪山南法華寺だそうです)を訪問しました。約1300年前の藤原京の時代に創建されたお寺です。
ここは、西国三十三所の巡礼地として、あるいは、眼病に御利益がある寺としても知られているだけでなく、ユニークな活動の数々でも知られています。実はもう一つ、太陽電池関係者に名が知れた寺でもあります。

こんなふうに、普通に歴史のある寺院で、右側の三重塔は、再建されているとはいえ築520年ほど経た歴史的建造物です。

この塔をライトアップしている照明がこれです!
少し片鱗が見えてきましたね。このお寺は、ただ古いだけではないのです。よく見るとLED照明を取り入れていることがわかります。

このお寺の数ある特徴の一つで、シルクロードの終着点であることを意識してか、インドとの交流を盛んに行っていて、インドで製作された石像や石の建造物を次々と増やしています。これは、全長50mにもなる石に刻まれた「釈迦一代記」です。

これを照らす照明も、もちろんLEDです!

これもインドで製作されたという全長20mもある観音像ですが、ここが今回の訪問の最大の目的地でした。といっても、観音像自体は極めて普通の昭和に作られたものなので、これなら120mもある牛久大仏のほうが巨大さで物珍しいのですが...

この観音像をライトアップする照明は、さすがにLEDではパワー不足なのか、昔ながらのハロゲン灯(たぶん)です。
しかし、有名なのはこれではなく、これを点灯させるための電源です。


これです!
このパネルで発電した電力をバッテリーに蓄えて、観音像のライトアップを行っているそうです。なんと30年以上前に設置されたソーラーパネルで、国内で稼働している中でも最古級と言われています。当時の住職が「観音様を照らすには自然のエネルギーを使いたい」と考えて、太陽光発電を採用したそうです。先見の明ですね。

”高取町壷阪の壷阪寺(常盤勝範住職)で夜間、高さ20メートルの大観音石像を照らすライト。その電源に使われている太陽光発電装置が、民間用では国内でも最古級の実証例として研究機関などから注目を集めている。”
奈良新聞の記事より転載)

そう、これは、国内で最も長く続いているフィールドテストとも言えます。シャープのパンフレットにも、長期信頼性の証として掲載されています。


こんなふうに、太陽電池をより長寿命化するにはどこの劣化が問題になるのかなどの貴重なデータを、これからも提供してくれることでしょう。

住宅用としても、パネル寿命30年以上というのはひとつの目安で、日本の一般木造家屋の平均建て替え年数と同程度になりますから、これくらい持てば新築時に屋根に設置したものを、本体の建て替えまで交換する必要がなくなります。もちろん、屋根のメンテナンスは10~15年程度で行うべし、とも言われていますので、本体費用と作業費用さえ安ければ15年程度というのも目安にできるかもしれません。
しかし、一般家庭用としては新築時に屋根一体型としてソーラーパネルを設置するケースが増えてくると思われますから、そのような場合は、やはり30年もって欲しいのです。木造家屋の寿命自体は、きちんとメンテナンスをすれば50年以上、素材と手の入れ方によっては何百年にもなりますから、30年でも足りないくらいです。(我が家も一体型ですが、果たして何年持つかな?)私が有機太陽電池の応用として屋外固定用途を想定しない理由の一つが、これです。

それはそうと、この看板に書かれた「サンシャインプロジェクト」、懐かしいですね~。私が学生時代に使っていた研究設備の大半は、このプロジェクト関連の予算で整備されたものでした。

2014年2月24日月曜日

雪の芸術?

2月14日~15日は広い範囲で記録的な雪となりましたが、14日には例年ほとんど雪が降らない生駒でも15cmくらい積もりました。
バスもタクシーも大混乱の中、私もなんとか大学にたどり着いたのですが、そんな日にもかかわらず遠路はるばる関東から訪問されたTさん、大変な日でしたね。

その日は大雪警報が出たこともあって学生も少なかったのですが、一部の学生(特にあったかそうな国からの留学生と思しき人たち)はここぞとばかりに雪と戯れていました。

どうやら、いくつかの芸術作品も生まれたようで...


作者不詳の作品、その1。
「物憂げなSnow Man」(仮)













作者不詳の作品、その2。
「ビーナスの休憩」(仮)








NAISTにも、なかなか芸術家魂をもった人がいるもんですね。


一方、こちらはインダストリアルデザイン賞をあげたくなります。
一週間経過後も、まだなんとか形を保っていました。外灯がLEDタイプでよかったですね。

2014年1月21日火曜日

気になる記事

TechOnから気になる記事を2件。

MITが「熱光起電力発電」で変換効率3.2%を実現、理論的には80%も
太陽光→熱→特定波長の光→電気という変換で、太陽の広範囲な波長にわたる光をいったん熱にしてから、光電変換に適した波長の光に変換しようという技術です。この熱→光変換がどこまで効率が上がるかが勝負ですね。
80%いければスゴイですが、現状では、太陽光→熱→電気の4.6%のほうがまだ上にいます。

プロペラによる海流発電、低コストな有機薄膜太陽電池---分散型エネルギーに向けたOISTの研究
こちらは、以前からの知り合いであるYabing Qi先生の研究が少しだけ紹介されています。いろいろな意味でOISTには親近感があるので、是非頑張って欲しいと思います。
時代は分散発電!