2015年10月22日木曜日

有機TFT復活なるか?

 ついに、折りたためる有機EL(OLED)ディスプレイが市場に出そうな様子ですが、ここに来て違う流れも見えてきました。
 OLEDディスプレイにとって最も手強い先行技術である液晶ディスプレイをフレキシブルにする技術が進展してきたようです。それに伴って、皮肉なことに、有機TFT(OTFT)がディスプレイバックプレーンに使われる見込みが再浮上してきました。(参照:「思いのままに曲がる、次世代液晶ディスプレー」日経テクノロジーOnline
 液晶がフィルム基板上での配向制御、電極ギャップを適性に保つスペーサー、フレキシブルなバックライトなどの課題をクリアすれば、OLEDより耐久性やガスバリア性などの点で有利になります。
 さらに、画素が電圧駆動ですからドライブのためのTFTへの要求がかなり楽になります。そこで、オン抵抗の点で不利だがより低温プロセスで作れて曲げにも強い有機TFTとの組みあわせが再浮上してきました。ヨーロッパではこの組み合わせでの試作例が発表されています。OLEDが頑張るならバックプレーンはIGZO-TFT、液晶が頑張るならバックプレーンはOTFTという皮肉な結果になるわけです。同じ有機エレクトロニクス仲間としては複雑な心境ですね。