2011年12月5日月曜日

ボストン定点観察

MRS Fall Meetingは、私の知る限りずっとボストンばかりで開催されています。
数えてみると、最近10年間で7回参加していましたので、ほぼ毎年のように年末のボストンを訪れていることになります。
そこで、21世紀初頭の10年間にボストンの街およびMRS Meetingに生じた変化を、独断ではありますが書き連ねてみたいと思います。

・ボストン市内で日本車が増えた
もちろんカリフォルニアあたりに行けば80年代から日本車だらけですが、東部大都市の都心部では2000年ごろにはそれほど多くは見かけませんでした。特にタクシーなんてアメリカ車ばかりだったのですが、ここ最近になってタクシーが急激にトヨタ車に変わってきています。しかもハイブリッドです。
今日乗ったタクシーの運転手ともその点を話したのですが、以前のフォードと比べて一日走り回った後のガソリン代が20ドルくらい安くなったそうです。
ホテルの前に乗り付けるちょっとリッチそうな人たちの自家用車も、メルセデスやBMWはほとんど見かけず、レクサスか日産が多かったです。
これだけ目立つと、この前のトヨタバッシングのようなものを仕掛けよう(あるいは敢えて黙認しよう)と思う人がいても不思議じゃないですね。

・貧困状態の人が増えた
以前はダウンタウンをうろちょろしていてもあからさまに物乞いしている人はそれほど見かけませんでしたが、今年は会場近辺だけで2人も見ました。しかも一人はホテルの前でやって、ガードマンに追い出されていました。さらに、これもホテルの前で、社会保障関係で抗議してるデモ隊までいました。こういうデモに出くわしたのは、ボストンでは初めてです。
世界的に普通の人々の敵となっている(と私は思っています)アメリカ式新自由主義経済のせいで、足下までやばいことになってきているのではないでしょうか。

・携帯電話の変遷
10年ほど前のボストンでは、通話とSMSのみの小柄な携帯が主流でした。MRS会場の近辺で見る限り、2000年代前半のうちにブラックベリーなどのスマートフォンに変わり、次にみんなこぞってiPhoneに、今はそれに様々なアンドロイドフォンが加わってバリエーションが増えてきたという感じです。アメリカのビジネスマンは日本人よりはるかにガジェットについて新しもの好きですね。それにあわせて、ショッピングセンター通路のスタンドで売っているケースも売れ筋が変わってきています。MRSの会場がボストンのビジネスエリアなので、特にはやり廃りが速いのでしょうね。

・どこでもインターネット
これはボストンに限ったわけではありませんが、町中や乗り物の中などWiFiが使える場所がかなり増えました。
例えば、この記事を投稿しようと思ってブログを開けたのは、ボストンからデトロイトへ向かう上空です。書き始めたらかなり長文になったので、空中から更新はできませんでしたが...
まだ日本国内でWiFiが使える路線はないですよね。(自信はない)

・MRS Fall Meetingで日本人参加者が減った
10年くらい前だと、日米合同会議かと思うほど日本人参加者を沢山見かけたのですが、今年は特に少なかったです。
知り合いの日本人となぜだろうと話していたのですが、さすがに確かなところは言えません。おそらく、(1)次の春に応物との合同セッションがあるからそちらに流れた、(2)震災後に科学研究費補助金の交付が30%カット(その後結局復活しましたが)されたので、申し込み段階で参加する人数を絞った、(3)そもそも6月の参加申し込み時に震災後の対応でそれどころではなかった、のいずれかあるいは複数の理由によるのではないかと思っています。
ただし、企業の人はここ数年皆無といってよい状態になってきています。これも大問題。MRSは比較的実用化まで近い技術の発表が多いのに。

・Poster Awardに韓国からの発表が多く選ばれるようになった
もちろん、韓国からの参加者が非常に多い(特にPoster Awardの対象になる若い人の参加は明らかに韓国>日本でした)ということもあると思いますが、研究の平均レベルもすごく高くなってきていると思います。また、国や企業が大きな予算を出している研究も多く見られます。我々有機エレクトロニクス関連分野でも、基礎はともかくOLEDやRFIDタグなどの実用化研究は明らかに韓国に押されています。

なお、偶然ですが、この文章ここまでタイプしたときにランダムプレイ中のiPodから流れてきたのは'Boston'の名曲、More Than a Feelingでした。
… So many people have come and gone, their faces fade as the years go by …

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