2022年4月8日金曜日

解析と考察(53)

先週見られた傾向よりは増加が緩やかになっていますので、更新したグラフを掲載しておきます。

ところで、いつのまにか53投目になったこのCOVID-19解析と考察シリーズ、継続的に見に来ている人もいるようです。しかし、最近初めて見た人は「自分の研究と関係無いものを何故延々とブログ投稿しているのだろう?」と思った人もいるでしょう。このあたりで、そもそも何故こんなものを掲載しているのかを説明しておきます。

私(中村)が約2年前に感じた不満は、ニュースやウェブサイトで表示している陽性者等のグラフはリニアプロットばかりであるという点にありました。感染症が広まるという現象は微分方程式で書けて、人口に対する感染者の割合が少ないときは解は微分方程式の定数が不変であれば単純な指数関数になります。それならセミログプロットすることで直線になりますので、増加や減少が定常的なのかどうかが一目瞭然です。例えば下のグラフで、2月から3月にかけてグラフ上で直線的に陽性者数が減っていることから、この間ずっと同じ微分方程式に従っていた、すなわち一人の感染者から平均何人の新たな感染者が出るかという値がずっと一定であったということがわかります。また、グラフ上で直線的に増加している時期には、このままならいつ頃に社会的限界に達するかが直線を延ばすだけで簡単に予測できます。

この他に、セミロググラフには以下の利点があります。

  • データの大きさが何桁にもわたる場合にも、小さいところでの変動が見やすい。
  • 下記の全国と大阪府の比較のように、10倍以上大きさが異なる値が連動して変化している場合でも、両者が常に比例しているなら同じ形のグラフを上下に平行移動したものになるため、比例関係にあるのかどうかが分かりやすい。
というわけで、実験結果を考察するプロならこのように見る、ということを学生や同業者でない方々に分かってもらうために、ブログに連載を始めたのです。
いつも見てくれているのは同業者が多いようですが…(^^



2022年4月3日日曜日

解析と考察(52)

陽性者数について、3月21日に「まん延防止等重点措置」が多くの地域で解除された直後から、驚くほど綺麗に下り勾配が登り勾配に切り替わりました。今は多くの人が移動する時期なのでこれからまだ変動する可能性が高いと思われますが、現時点ではおよそ1ヶ月で倍程度の増加率でしょうか。このまま進むとGWに活動制限が必要になってくるかもしれません。

入院治療を要する者の数に対する死亡者数の率は、幸いさらに低下傾向が見られます。ブースター接種が効いてきたのかもしれません。