2018年4月21日土曜日

個人的新技術実証実験

未来の技術を提案する立場にある以上、今普及しつつある技術は表面的でなく実体験として知っておく必要があります。
そのため、ときどき「物好き」なことをやります。

NAISTに異動した際の住み替えをきっかけに、自宅のゼロエミッション化を試みました。
当時の予算内でつけられるソーラーパネルの制約からエネルギー自給率は70%程度でしたが、電気で24時間冷暖房していることを考えるとまあ合格ラインでしょうか。
今なら、もっと効率の良いパネルが安くつけられるので、オール電化でも年間通算での自給率100%は達成容易だと思います。
個人予算でやってみると特に実感しますが、金銭的に元をとるのに10年くらいかかりますので、太陽光発電関連のハードウェアはすべて寿命が長ければ長いほど良いです。10年でパネル張り替えなんてもってのほかです。パワーコンディショナーくらいなら取り替えは容易ですが、パネルは住宅本体と同等以上の寿命がないとミクロ経済的にはメリットがありません。目安は、実使用環境での寿命30年以上ですね。

最近では、自宅IoT化をぼちぼちと実験していますが、これは住宅電気設備や家電製品にまだまだネットワーク対応機器が少ないのがネックです。
GoogleホームとNature Remoを使っていますが、現時点では、テレビ、一部の照明、エアコン、空気清浄機のみがネット上から、あるいは、Googleホームを通じて音声でいじれるのみです。出先から、自宅リビングの温度と湿度がわかるのは、おまけです。
次は、玄関のロックを対応させたいのですが、まだいろいろ制約が多いので様子見中。
今は、住宅内の電気機器、冷暖房、風呂の給湯などをどうクラウドから制御するかがネックですが、その次に来るのは住宅内の状況を細かく知りたいという要求でしょう。
この段階になって、簡単に設置/撤去できる小型/薄型のセンサーパッチのようなものがほしくなり、そのためにエナジーハーベスターが必要不可欠になるでしょう。

ちなみに、学生や若い人の中には住宅のIT化はつい最近始まったかのように思っている人が多いと思います。実は、これで3回目のブームです。
詳しくは、日経XTECHのこの記事をご覧ください。
1990年代に「ホームオートメーション」、2000年代に「IT住宅」、そして今は「スマートホーム」と言葉を変えていますが、国と業界が主導してなにやら画策することを延々繰り返しています。いくら国や業界が主導しても、周辺技術や、普及技術とのコンパチビリティ、さらには、社会的需要がすべて満たされないと技術は普及しないという典型例ですね。関わっている人たちも、1段1段技術と社会的需要をすりあわせてゆくための方便に、すぐにでも実現できるようなことを言っているだけかもしれません。
この段階ごとに使える要素技術が増えていますので、30年前と比べて簡単に実現できることが飛躍的に増えています。あたりまえに使われる技術になるのはさらに10年以上かかるのかもしれませんが、そのためには要素技術の基礎研究はすでに行われているべきです。

さて、これ以外に、「身の回りで熱電変換を使おう」実証実験を進めています。
最初に購入したのは、BioLite社のCampStove 2というアウトドア用品です。これは何度か試しましたが、電源はないけど枯れ木は燃やせるという環境でどんどん発電します。スマホの充電には十分です。調理にも使ってみましたけど、火加減が難しいので、山キャンプなどかなり過酷な状況でないとありがたみは少ないかもしれません。
これは、必要な人には今でも十分使える技術と言えるでしょう。

我々の研究ターゲットに近いところで、MATRIX社のPOWERWATCHという製品でウェアラブル熱電の使用具合を試し始めました。
これについては、別の投稿で詳しく書きます。

0 件のコメント: