2006年3月18日土曜日

研究職を選ぶ理由

インテリジェンスという会社の転職支援サイトでこんな年収ランキングを見つけました。決して、私もぐらが転職先を探していたのではありませんよ。(w
研究室の一部の人には話しましたが、「電気・電子・半導体」業界の職種別平均年収は、院卒がほとんど含まれていないと思われる25歳を除くと、30、35、40歳いずれを見ても「研究開発」がトップです。ちなみに、最近うちの学科の学生でも選ぶ人が多いSEやプログラマ(別のページにあります)と比べても高いですね。なんと、金融系の5位くらいの職種よりも高いです。
他にどんな職種が比較されているかはリンク先を見てください。
これだけを見て、なにも考えずに「それなら研究開発部門を希望しよう!」と思う単細胞君は研究に向きません。ぜひ別の職種を選ぶことをお勧めします。(w

まず、この手の統計は、母集団のかたよりを考えなければなりません。
いろいろ考慮すべきことがありますが、私のこれまでの見聞から推測するに、一番考慮すべきは研究開発職に就いている大卒技術系の人数が企業規模が大きくなるほど飛躍的に多くなる点です。おそらく、ここに挙がっている「回路設計」の集団よりも、「研究開発」の集団のほうが大企業に勤めている人の率が高いものと推測されます。(こんな推測で論理を展開するのも研究者としては不本意ですが、ここでは一般論として考えられることとを述べているつもりです。)少なくともメーカーの範疇では、大企業のほうが中小規模の会社より一般社員の年収は良いですから。

まあそういう点を考慮しても、理系として社会に出るに当たって、研究開発職はそれなりに選ばれたものが就く職種と考えて良いでしょう。志望する価値は十分あると思いますよ。
研究室の学生の皆さんには、なかでも「研究職」に一人でも多く就いてもらいたいと思っています。
工学部を出て企業で研究をやるのですから、サイエンスを目指すことはないと思いますが、それでもエンジニアリングをやるかテクノロジーをやるかは大違いです。エンジニアリングというのは、すでによく知られている法則や方法を組み合わせて、現実の問題を解決することです。開発の仕事は、その色合いが強くなります。それに対して、テクノロジーとは、これまでに使われていなかった現象や材料などを使ってまったく新しい、あるいは、従来とは桁違いの性能を持ったものを創り出すことです。ここで言っている研究職とは、そのようなテクノロジーを創造することを目標とする人のことです。日本語にすると、どちらも技術と訳されてしまうことがあるので、違いが曖昧になってしまうのですが。
自分が良いと考えた研究テーマを精一杯やってテクノロジーの進歩に貢献できたら、何物にも代え難い感動が得られます。しかも、それができる人は、どこの会社(あるいは大学)に行っても研究者として通用します。社名の入った名詞を手に、「○○社の誰それ」と名のったときに、相手が○○社に価値を持ってくれるのか、あるいは、誰それさん個人に敬意を払ってくれるのかの違いです。

MN

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