従来の1/100,わずか10ccのRb原子発振器をエプソントヨコムが開発
原子時計と言えば、精度の極めて高い時計の代名詞で、たいそうなシステムが必要という認識でした。ここまで小型化が進んでいたとは、まったく知りませんでした。
これで「原子アラームクロック」くらいはできそうですね。いずれは「原子腕時計」でしょうか?
他にも、エプソントヨコムの電子部品やセンサー類はスゴイものが多いので、今回一押しのブースです。
村田製作所
CEATECと言えば村田製作所を忘れてはいけません。
今回、ムラタセイコちゃんがさらに進化したと聞いています。今回はどんなデモを見せてくれるのでしょうか。
パナソニック電工,直流で電力供給を可能にする次世代配電システムを展示
最近、直流給電が話題に出ることが多くなってきました。確かに、PCやテレビをはじめとして、身の回りにはAC100Vを供給しておきながら、内部的にはDCしか使っていない機器ばかりになってきています。さらに、LEDや有機EL照明が普及し始めたら、ますます家庭内のあちこちでAC100VをDCに変換することになります。それなら、配電盤のところで高効率な装置でまとめてAC-DC変換をやってしまい、DCしか必要の無い機器にはDCで給電しましょうということです。そのほうが効率も機器のコストも安くなるでしょう。
これ、大学の実験室でこそ早く実現して欲しいと願っています。我々の実験では微弱電流を測ることが多いのですが、そのような測定では電磁ノイズや漏洩磁場によるノイズが大敵です。以前なら蛍光灯とブラウン管が悪役コンビだったのですが、最近ではいろいろな機器の電源で使われてるインバーターからのノイズがかなり気になります。さらに、壁や床を這っているAC100Vラインからの磁場ノイズも測定によっては問題になります。DC給電にすると、これらがかなり減るはずです。
MN
2009年10月3日土曜日
2009年9月29日火曜日
CEATEC関連(2)
CEATEC関連のニュースのから、興味を持ったものを紹介していきます。
QDレーザらが量子ドット・レーザを利用した緑色レーザを開発,2010年秋の量産目指す
意外と言えば意外ですが、AlGaAs/GaAs系の赤色とInGaN/GaN系の青色との狭間で、緑色レーザーは今まで小型・安価・高性能なものが得られていないようです。緑色レーザーでは、通常近赤外レーザー光からSHGを利用して高調波としての緑色光を発生させますが、この発表では、励起レーザーに量子ドットレーザを用いていることが特徴です。
これで、三原色そろった小型レーザーを使ったモバイルプロジェクターの普及が加速するのでしょうか。
日本写真印刷らが色素増感型太陽電池を開発,2010年サンプル出荷へ
色素増感太陽電池は低コストかつ比較的変換効率の高いことが特徴ですが、耐久性に難があります。この発表では、印刷技術を利用して実用的な耐久性を得たそうです。有機材料を用いた太陽電池では色素増感型が一歩先を走っていますが、そろそろ実際に製品として使われ始めるでしょうか。
MN
QDレーザらが量子ドット・レーザを利用した緑色レーザを開発,2010年秋の量産目指す
意外と言えば意外ですが、AlGaAs/GaAs系の赤色とInGaN/GaN系の青色との狭間で、緑色レーザーは今まで小型・安価・高性能なものが得られていないようです。緑色レーザーでは、通常近赤外レーザー光からSHGを利用して高調波としての緑色光を発生させますが、この発表では、励起レーザーに量子ドットレーザを用いていることが特徴です。
これで、三原色そろった小型レーザーを使ったモバイルプロジェクターの普及が加速するのでしょうか。
日本写真印刷らが色素増感型太陽電池を開発,2010年サンプル出荷へ
色素増感太陽電池は低コストかつ比較的変換効率の高いことが特徴ですが、耐久性に難があります。この発表では、印刷技術を利用して実用的な耐久性を得たそうです。有機材料を用いた太陽電池では色素増感型が一歩先を走っていますが、そろそろ実際に製品として使われ始めるでしょうか。
MN
2009年9月24日木曜日
当研究室の学生必読本
院生のP君と話をしていて、我々の研究室での必須知識について講義してほしいとリクエストされました。
まあ、そういうのもなかなか難しくって、よほどまとまった時間を取らないかぎり極簡単な話にしかならないし、また、人によって必須知識だと思うものも違うので、講義としてやるのはお互いコストパフォーマンスがよくありません。
我々の研究分野においていくつか必読の教科書があるので、それを手元に置いて、興味と自分のレベルに応じて何度も読むというのが一番だと思います。もちろん、わからないところとか疑問に思ったところは、いつでも質問に来てくれれば喜んで答えます。
そう思って学生の部屋を探し回ってみたのですが、どうやら、以前から研究室の学生の皆さんに「これだけは必読」と言っていた本が今では伝わっていないようです。
そこで、ここで改めていくつか挙げておきます。
まずは、絶対外せないこれ!
・木下 是雄 (著) 理科系の作文技術
理工系の大学生の必読本です。少々古くなっている感もありますが、今でも原理原則はまったく変わっていません。
四年生の人!卒研に取りかかる前に必読ですよ。
あとは、今いくつか思いついたものを挙げます。
・堀越 源一 (著) 真空技術 (物理工学実験)
当研究室のほとんどのテーマで大なり小なり真空を使います。
以前なら、この手の本を輪読したのですが、最近おろそかになってしまっています。ぜひ手元において、真空引きの待ち時間に人類の英知の一つである真空技術を学んで下さい。
(他にも類似の本はいくつかあります)
・Simon M. Sze (著) Physics of Semiconductor Devices
忘れてはいけない、半導体デバイスのバイブルです。論文のリファレンスでもよく見かけますね。半導体デバイスに関わる研究者、技術者のバイブルです。読んだことがない人はもぐりです。
・薄膜材料デバイス研究会 (編集) 薄膜トランジスタ
ちゃっかり宣伝もしておきます。
半導体物性およびデバイスについての学部レベルの教科書は、皆さん必ず持っているでしょう。しかし、薄膜トランジスタ特有の物理や作成プロセスなどについては、まとまった教科書は少ないのです。これはその貴重な一冊です。TFTに関わる人は必読です。
・上羽 牧夫 (編集) 結晶成長のしくみを探る―その物理的基礎 (シリーズ 結晶成長のダイナミクス)
当研究室でも、様々な形で結晶成長に関わる現象を扱うはずです。この手の本に一度目を通しておいて、「なぜこうなるんだろう?」と思ったときに学びながら現象の理解と説明ができるようになって下さい。
今日はここまで。
教科書というのは、手元にあるのと図書館で借りるのとでは大違いです。「積ん読」も実は価値があって、机に積んであれば、必要なときに時間のロス無く紙媒体を自分の記憶の延長として使えるのです。
買いそろえると高いですが、これらのリンク先を見てもわかるように、最近はネットで簡単に古本が買えます。ぜひ、自分の本として購入して下さい。
MN
まあ、そういうのもなかなか難しくって、よほどまとまった時間を取らないかぎり極簡単な話にしかならないし、また、人によって必須知識だと思うものも違うので、講義としてやるのはお互いコストパフォーマンスがよくありません。
我々の研究分野においていくつか必読の教科書があるので、それを手元に置いて、興味と自分のレベルに応じて何度も読むというのが一番だと思います。もちろん、わからないところとか疑問に思ったところは、いつでも質問に来てくれれば喜んで答えます。
そう思って学生の部屋を探し回ってみたのですが、どうやら、以前から研究室の学生の皆さんに「これだけは必読」と言っていた本が今では伝わっていないようです。
そこで、ここで改めていくつか挙げておきます。
まずは、絶対外せないこれ!
・木下 是雄 (著) 理科系の作文技術
理工系の大学生の必読本です。少々古くなっている感もありますが、今でも原理原則はまったく変わっていません。
四年生の人!卒研に取りかかる前に必読ですよ。
あとは、今いくつか思いついたものを挙げます。
・堀越 源一 (著) 真空技術 (物理工学実験)
当研究室のほとんどのテーマで大なり小なり真空を使います。
以前なら、この手の本を輪読したのですが、最近おろそかになってしまっています。ぜひ手元において、真空引きの待ち時間に人類の英知の一つである真空技術を学んで下さい。
(他にも類似の本はいくつかあります)
・Simon M. Sze (著) Physics of Semiconductor Devices
忘れてはいけない、半導体デバイスのバイブルです。論文のリファレンスでもよく見かけますね。半導体デバイスに関わる研究者、技術者のバイブルです。読んだことがない人はもぐりです。
・薄膜材料デバイス研究会 (編集) 薄膜トランジスタ
ちゃっかり宣伝もしておきます。
半導体物性およびデバイスについての学部レベルの教科書は、皆さん必ず持っているでしょう。しかし、薄膜トランジスタ特有の物理や作成プロセスなどについては、まとまった教科書は少ないのです。これはその貴重な一冊です。TFTに関わる人は必読です。
・上羽 牧夫 (編集) 結晶成長のしくみを探る―その物理的基礎 (シリーズ 結晶成長のダイナミクス)
当研究室でも、様々な形で結晶成長に関わる現象を扱うはずです。この手の本に一度目を通しておいて、「なぜこうなるんだろう?」と思ったときに学びながら現象の理解と説明ができるようになって下さい。
今日はここまで。
教科書というのは、手元にあるのと図書館で借りるのとでは大違いです。「積ん読」も実は価値があって、机に積んであれば、必要なときに時間のロス無く紙媒体を自分の記憶の延長として使えるのです。
買いそろえると高いですが、これらのリンク先を見てもわかるように、最近はネットで簡単に古本が買えます。ぜひ、自分の本として購入して下さい。
MN
2009年9月19日土曜日
CEATEC関連(1)
今後しばらく、CEATEC関連で気になった報道を紹介していきます。
最初はこれ。
学生のための「仕事研究サポートイベント」
私が学生の皆さんにCEATEC見学を勧めているのも、世の中の技術動向を知るだけでなく、自分が将来やる仕事についてイメージを確立してほしいからです。
このイベントなんて、まさに最適です。
研究室の院生の皆さんも、完全予約制とのことですので、早めに予約して是非参加して下さい。
以下、内容を転載。
1stステージ
「IT・エレクトロニクス業界セミナー」
先輩エンジニア達が語る、ここでしか聞けない業界研究セミナー
講 師:京セラ(株)、パナソニック(株)、(株)日立製作所、横河電機(株)他
時 間:11:00~13:00(受付開始10:30)
場 所:国際会議場2階「201」
定 員:150名
2ndステージ
「企業ブース訪問」
CEATEC JAPANを自由に見学。最新技術を体感しよう。
時 間:13:00~16:30
※人事担当参加ブースでの対応時間です。通常のブース見学は、イベント開催中は自由です。
場 所:各展示ホール
※人事担当参加の企業ブースに訪問するとシールを渡します。シールの枚数で素敵な賞品をプレゼント
MN
最初はこれ。
学生のための「仕事研究サポートイベント」
私が学生の皆さんにCEATEC見学を勧めているのも、世の中の技術動向を知るだけでなく、自分が将来やる仕事についてイメージを確立してほしいからです。
このイベントなんて、まさに最適です。
研究室の院生の皆さんも、完全予約制とのことですので、早めに予約して是非参加して下さい。
以下、内容を転載。
1stステージ
「IT・エレクトロニクス業界セミナー」
先輩エンジニア達が語る、ここでしか聞けない業界研究セミナー
講 師:京セラ(株)、パナソニック(株)、(株)日立製作所、横河電機(株)他
時 間:11:00~13:00(受付開始10:30)
場 所:国際会議場2階「201」
定 員:150名
2ndステージ
「企業ブース訪問」
CEATEC JAPANを自由に見学。最新技術を体感しよう。
時 間:13:00~16:30
※人事担当参加ブースでの対応時間です。通常のブース見学は、イベント開催中は自由です。
場 所:各展示ホール
※人事担当参加の企業ブースに訪問するとシールを渡します。シールの枚数で素敵な賞品をプレゼント
MN
2009年9月14日月曜日
CEATEC2009
今年もCEATECの時期が近づいてきました。
エレクトロニクスの今と近い将来の姿を知る良い機会ですから、研究室の皆さんも是非見に行って下さい。特に就活を控えたM1の人たちは、「どの会社でどんな仕事をやってみたいか」を考えながら、積極的に質問などを行うと良いでしょう。
3年生でここを見ている人はあまりいないと思いますが、後期の「電子デバイス」では、CEATEC見学レポートを義務づけています。
今の内に入場登録を済ませておいて下さい。
全体を真剣に見ると丸一日かかります。時間割と相談して、なるべくまとまった時間参加できる日を選んで、幕張まで行ってきて下さい。
MN
エレクトロニクスの今と近い将来の姿を知る良い機会ですから、研究室の皆さんも是非見に行って下さい。特に就活を控えたM1の人たちは、「どの会社でどんな仕事をやってみたいか」を考えながら、積極的に質問などを行うと良いでしょう。
3年生でここを見ている人はあまりいないと思いますが、後期の「電子デバイス」では、CEATEC見学レポートを義務づけています。
今の内に入場登録を済ませておいて下さい。
全体を真剣に見ると丸一日かかります。時間割と相談して、なるべくまとまった時間参加できる日を選んで、幕張まで行ってきて下さい。
MN
2009年9月1日火曜日
理科ナビ
東京理科大がこんなサイトを作っています。
http://rikanavi.tus.ac.jp/
つい興味をそそられたので、私自身もやってみました。
結果は...
思考・行動ベースでのオススメ学科は基礎工学部材料工学科、興味・関心ベースだと一番関連が強いのが理学部応用物理学科でした。
これらの学科の他に、「学び方」で適合性が高いのが生物工学科、電子応用工学科など、「興味」の適合性が高いのが物理学科、化学科などでした。
まあ、今選ぶなら、さもありなんです。
いや、今に限らず、昔から興味と適合が食い違っていることは自覚しています。学際領域をやるには、そのほうが良いかと思います。
すでに千葉大電気電子系に入学してしまった皆さんも、自分の本当の姿を知るきっかけとして、ぜひやってみて下さい。
MN
http://rikanavi.tus.ac.jp/
つい興味をそそられたので、私自身もやってみました。
結果は...
思考・行動ベースでのオススメ学科は基礎工学部材料工学科、興味・関心ベースだと一番関連が強いのが理学部応用物理学科でした。
これらの学科の他に、「学び方」で適合性が高いのが生物工学科、電子応用工学科など、「興味」の適合性が高いのが物理学科、化学科などでした。
まあ、今選ぶなら、さもありなんです。
いや、今に限らず、昔から興味と適合が食い違っていることは自覚しています。学際領域をやるには、そのほうが良いかと思います。
すでに千葉大電気電子系に入学してしまった皆さんも、自分の本当の姿を知るきっかけとして、ぜひやってみて下さい。
MN
2009年8月6日木曜日
仕事に役立つ?
当研究室のOBに、「大学や研究室で学んだことで仕事で役立っていることは何か?」というアンケートを採ってみようと思ったことがありました。結局は、連絡が取れる人数が少なく(連絡先不明になっている人が結構多い)、研究室単位ではあまり意味のある数がとれないだろうということで諦めたのですが、その後こんな記事を見つけました。
Tech-On!読者1000人に聞きました 第2回:新人の時に苦労したこと
「学生時代の研究や勉強は,今の仕事でどのように生きていますか」
記事の様子からは、回答がバラバラだったことが伺えますが、それらの回答を大まかに(1)基礎的な知識、(2)論理的な思考、(3)問題解決へのアプローチ、(4)研究や調査の仕方、(5)直接的なスキル、(6)人脈、の6つに分類しています。
このうち、回答が多いらしい(1)〜(4)について、現役院生の皆さん向けに考えてみます。
(1)基礎的な知識
数学や物理、化学、材料力学、機械力学、電磁気学、電気回路学など、大学の一般教養課程あるいは高校で学ぶ知識を挙げる回答が多く見られました
とのこと。これは、もっともだと思います。理学でも工学でも、専門知識が先に進めば進むほどそれを使う場面が限られてきます。そういう意味でも、基礎科目について十分理解し、いざというときに使いこなせることが大卒技術者の最大の強みだと思います。ここの学科でも、数学、電磁気学、回路理論はみっちり仕込まれている「はず」です。(この点については、院試をやる意義が大きいですね。)また、研究室での研究を進める中でも、それら基礎知識を復習したり応用力をつけたりする機会があるはずです。
この裏返しとして、
一方、「学生時代の研究などを通して学んだ専門知識が直接役立っている」という回答はほとんど見受けられませんでした。
ということも書いてあります。これも当然。先ほど述べたように、理学的な専門知識については、高度になるほどちょっと分野がずれると使い道がないことが多いです。技術的かつ実用的な専門知識に至っては、年月が経ってその技術分野が進化してゆくと使い物にならなくなります。場合によっては、5年も経つと陳腐化します。大学院での研究活動そのもので得た「研究での実用知識」は、その道で研究を続ける少数の「研究エリート」(ちょっと皮肉がこもってます)以外の人にとって、直接お役にたつことは少ないでしょう。でも、後述しますが、研究活動は決して無意味ではありません。
(2)論理的な思考
(3)問題解決へのアプローチ
(4)研究や調査の仕方
まとめて論じますが、これらこそ研究室で身につけて欲しいことです。何をやれば鍛えられるかは想像つきますでしょうか?
これらに教科書はありません。まったく無いわけではありませんが、やはりこれらはstudyの対象ではなく、learningあるいはtrainingによって身につけるものだと思います。この、learningあるいはtrainingという姿勢が年々薄れてきているように思えることが心配です。
実験系の研究の大まかな流れは次のようになると思います。(細部は異なりますが、この大まかな流れは企業で研究する場合も同じですね。)
(a)何を研究すべきか、テーマの大筋を考える。
(b)どのようにそれを実現するかのプランニングを行う。
(c)研究を遂行するための予算(場合によってはメンバー)を獲得する。
(d)今どのような実験を行うべきか必死に考える。
(e)それを確実に行う方法を考え、必要であれば実験装置を構築あるいは改良する。
(f)細心の注意と全てのノウハウをつぎ込み、実験を行う。
(g)出た結果について死ぬほど一所懸命に考える。
(h)新事実が確かであることを確認するまで、あるいは、技術的な進歩が一段落するまで(d)〜(g)を繰り返す。
(i)得られた結果をまとめ、他の研究者を納得させられる状態にして学会や論文などで発表する。
(j)一定の目的を達するまで(a)〜(i)を適宜繰り返す。
修士院生の人たちは(a)〜(c)は要求されませんが、(d)〜(i)のプロセスはぜひ2巡くらい体験して「論理的な思考、問題解決へのアプローチ、研究や調査の仕方」を会得して欲しいと考えています。しかも、どうせやるなら、これ以上無理というまで頑張った上で、一流の仕事を体験して欲しいものです。スポーツと同じで、楽をしていては個人の能力が高まりませんから。
なお、博士院生の人は、(a)~(c)のやり方も身につけるべし!
MN
Tech-On!読者1000人に聞きました 第2回:新人の時に苦労したこと
「学生時代の研究や勉強は,今の仕事でどのように生きていますか」
記事の様子からは、回答がバラバラだったことが伺えますが、それらの回答を大まかに(1)基礎的な知識、(2)論理的な思考、(3)問題解決へのアプローチ、(4)研究や調査の仕方、(5)直接的なスキル、(6)人脈、の6つに分類しています。
このうち、回答が多いらしい(1)〜(4)について、現役院生の皆さん向けに考えてみます。
(1)基礎的な知識
数学や物理、化学、材料力学、機械力学、電磁気学、電気回路学など、大学の一般教養課程あるいは高校で学ぶ知識を挙げる回答が多く見られました
とのこと。これは、もっともだと思います。理学でも工学でも、専門知識が先に進めば進むほどそれを使う場面が限られてきます。そういう意味でも、基礎科目について十分理解し、いざというときに使いこなせることが大卒技術者の最大の強みだと思います。ここの学科でも、数学、電磁気学、回路理論はみっちり仕込まれている「はず」です。(この点については、院試をやる意義が大きいですね。)また、研究室での研究を進める中でも、それら基礎知識を復習したり応用力をつけたりする機会があるはずです。
この裏返しとして、
一方、「学生時代の研究などを通して学んだ専門知識が直接役立っている」という回答はほとんど見受けられませんでした。
ということも書いてあります。これも当然。先ほど述べたように、理学的な専門知識については、高度になるほどちょっと分野がずれると使い道がないことが多いです。技術的かつ実用的な専門知識に至っては、年月が経ってその技術分野が進化してゆくと使い物にならなくなります。場合によっては、5年も経つと陳腐化します。大学院での研究活動そのもので得た「研究での実用知識」は、その道で研究を続ける少数の「研究エリート」(ちょっと皮肉がこもってます)以外の人にとって、直接お役にたつことは少ないでしょう。でも、後述しますが、研究活動は決して無意味ではありません。
(2)論理的な思考
(3)問題解決へのアプローチ
(4)研究や調査の仕方
まとめて論じますが、これらこそ研究室で身につけて欲しいことです。何をやれば鍛えられるかは想像つきますでしょうか?
これらに教科書はありません。まったく無いわけではありませんが、やはりこれらはstudyの対象ではなく、learningあるいはtrainingによって身につけるものだと思います。この、learningあるいはtrainingという姿勢が年々薄れてきているように思えることが心配です。
実験系の研究の大まかな流れは次のようになると思います。(細部は異なりますが、この大まかな流れは企業で研究する場合も同じですね。)
(a)何を研究すべきか、テーマの大筋を考える。
(b)どのようにそれを実現するかのプランニングを行う。
(c)研究を遂行するための予算(場合によってはメンバー)を獲得する。
(d)今どのような実験を行うべきか必死に考える。
(e)それを確実に行う方法を考え、必要であれば実験装置を構築あるいは改良する。
(f)細心の注意と全てのノウハウをつぎ込み、実験を行う。
(g)出た結果について死ぬほど一所懸命に考える。
(h)新事実が確かであることを確認するまで、あるいは、技術的な進歩が一段落するまで(d)〜(g)を繰り返す。
(i)得られた結果をまとめ、他の研究者を納得させられる状態にして学会や論文などで発表する。
(j)一定の目的を達するまで(a)〜(i)を適宜繰り返す。
修士院生の人たちは(a)〜(c)は要求されませんが、(d)〜(i)のプロセスはぜひ2巡くらい体験して「論理的な思考、問題解決へのアプローチ、研究や調査の仕方」を会得して欲しいと考えています。しかも、どうせやるなら、これ以上無理というまで頑張った上で、一流の仕事を体験して欲しいものです。スポーツと同じで、楽をしていては個人の能力が高まりませんから。
なお、博士院生の人は、(a)~(c)のやり方も身につけるべし!
MN
2009年7月22日水曜日
皆既日食
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